公園のトイレ

創作の怖い話 File.21



投稿者 ストレンジカメレオン 様





時刻は夕方の五時を過ぎたところだ。

「さてと、行くかな」

休日はランニングをするのが日課のオレは、ジャージに着替え、家を出た。

(この前のコースは商店街を走ったから、今日は公園のコースだな!)

毎回同じコースを走るのでは飽きてしまうので、オレはコースを少しずつ変え、走っていた。

家から近くのこの公園は広く、ランニングするにはもってこいの公園であった。

いつもは散歩をしている人たちがいるのだがこの日は妙に人気が無かった…

そんなことは気にせずにオレは走り続けた。

突然、トイレに行きたくなったオレは、近くにあるトイレを探した…

道をはずれた林の中にぽつんとトイレらしきものを見つけた…

(あんなとこにトイレあったっけ…まあいいか…)

そのまま公園のトイレへと駆け込んだ…………

そこが地獄への入り口とは知らずに………

トイレのドアを開け、ジャージのズボンを下ろし、便座に座った。

便所特有の臭い匂いはよくあることだが、それ以外にとてつもない異臭がするのにオレは気づいた……

壁を見ると、ところどころ赤い液体がかかった跡がある……

………血だ……………

この尋常じゃない雰囲気のトイレを見回すと、便器の下に隠してあるように、

黒いビニール袋が放置してあった…

オレの心臓は高鳴った…

嫌な予感を感じながらもそれを手にとった…

意外とずしりと重い…

異臭はこのビニール袋が放っていることに気づいた…

ビニール袋の結びをほどき、ゆっくりとビニール袋を開けた…

(うっ…)

激しい異臭がさらに勢いを増した…

中から小さな虫がたくさん出てきた……中にはもっとウジャウジャいるようだった…

気持ち悪くなったオレはビニール袋を投げ捨てた…

……ごろん……

中から腐りかけた人の首が現れた……

「ひっ…」

オレは背筋が凍りつき、ぷつぷつと蕁麻疹のようなものが体中に浮き出た…

見たこともない虫達が、その人間の首を支配していた…

皮膚は虫達に食われ、ボロボロにされ、水分を完全に失い、

干からびたそれは、うらめしそうにオレを見つめているように感じられた…

あまりの気持ち悪さにオレはトイレを飛び出した…

「はぁ はぁ………」

(今日はもう帰ろう…気持ちが悪すぎる………)

家についたオレは必死に今日見たものを忘れようとしていた…

プルルルル プルルルル………

プルルルル プルルルル …

オレの携帯に電話がかかってきた…

………非通知だ………………

プルルルル……

プルルルル…

電話は鳴り続けた…

オレは恐る恐る電話に出た…

「も、もしもし…」

「そ…………………くよ………」

「はい……?ど、どなたですか…?」

「そっち…………………………行くよ」

ツーツーツーツー

ここで突然、電話を切られた…

(なんなんだ…………………今の気持ち悪い電話…)

ピンポーン ピンポーン

ピンポーン ピンポーン

ピンポーン ピンポーン

今度はひたすら、インターホンが鳴り始めた……

ピンポーン ピンポーン

ピンポーン ピンポーン

(嫌がらせかぁ……まったく、なんなんだ今日は……)

ガチャガチャ…

キィーーーーッ…

(まさか…中に入って来やがったか…)

ギシィ… ギシィ…

玄関から足音がこちらの部屋へと少しずつ近付いてくる…

ギシィ… ギシィ…

(なんなんだ……なんで入ってくるんだ……誰だ…)

ギシィ ギシィ

鈍い音を立て、足音は近付いてきた…

そして部屋の前で足音は止まった…

息を殺し、オレは身構えた…

しかし五分、十分、二十分、刻々と時間が過ぎていくだけであった…

そして一時間が過ぎようとしていた…

なんだ……もしかして………オレがどうかしてたのか………

人が入ってきたのは気のせいだったみたいだな……

オレは部屋を出ようとドアを開けた……

グシャ……

真っ赤な液体が目の前に飛び散った…

部屋を出た瞬間、オレは思いきり鋭い刃物で首を切りつけられた…

目の前には、首がない胴体だけの男が刃物を持って待っていたのだ…

次の日、公園のトイレには二つのビニール袋が異臭を放っていた…三人目の仲間を待ちながら・・・



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