アンケート

創作の怖い話 File.19



投稿者 ストレンジカメレオン 様





「あの〜……」

オレは街中を歩いていると、帽子を深く被った少女に声をかけられた。

(なんでこんな深く帽子を被ってるんだろ?恥ずかしがりやさんなのかな)

「どうしたの?」

「あの〜 アンケート採ってるのですが、お願いできますか?

あなたが今食べたいものは?っていうものなんですが…」

「いいよ!分かった!じゃアンケート用紙貸して。

んじゃカレーライスっと」

「ご協力ありがとうございます!!」

少女はお辞儀をした。

オレはちょうど仕事の休憩中で昼ご飯を食べに外を歩いていたところだった。

(あれっ…あんなとこにカレーのお店なんてあったっけなぁ。)

オレは一軒のカレーの店を見つけた。

(ちょうど良かった!今日はあそこで食べよう。)

「ふぅ〜、久しぶりに美味しいカレーを食べたな!」

この日がこれから起こる不思議で恐ろしい出来事の始まりだった……

次の日…

同じように休憩時間に、昼ご飯を食べようと外を歩いていると

「あの〜……」

聞き覚えのある声に、オレは後ろを振り返った。

(あっ 昨日の子だ!)

「どうしたの?アンケート?」

「はい!今、欲しいものは?っていうアンケートなんですが…」

「今、欲しいものかぁ〜、新車かな。

はい、じゃアンケート用紙貸して。」

「ご協力ありがとうございます!」

少し歩くと、抽選会をやっているのか、人だかりが出来ている。

少し気になったオレは、抽選会を覗いてみた。

(あっ あの一等賞の車、オレが欲しいと思っていた車だ!)

「あの車いいなぁ〜、でもオレ抽選券持ってないしなぁ〜」

すると、隣にいたおじさんが突然、話し掛けてきた。

「兄ちゃん、兄ちゃん、抽選券なら良ければオレが三千円で譲ってあげるよ。

あんなものどうせ当たらないんだ。」

「本当ですか?うーん三千円かぁ、まあ夢見させてもらうよ!おじさん! はい、三千円!」

「うひひ!どうもね!兄ちゃん!」

早速、オレは抽選くじを引いた。

「えっ これって!!!」

「おめでとうございます!!!!!一等賞です!!!

一等賞出ました!このお客さんに盛大な拍手を!」

(夢みたいだ… す、すげぇ!)

オレの気分は最高だった。

次の日、

気分は最高のまま、昼休憩をいつものようにとっていた。

「あの〜…」

(この声は…)

「アンケート採ってるのですが」

(気分が良いから今回も書いてみるか!)

「分かった、今日もアンケートに答えるよ。」

「今、起こって欲しくないことは?っていうアンケートなのですが…」

「起こって欲しくないことか……交通事故かな!はいアンケート用紙。」

「ご協力ありがとうございます!」

(さてと、今日の昼飯はどうしようかなぁ〜

よし、あそこの定食屋にしよう!)

オレは急いで横断歩道を飛び出した。

角から曲がってきたトラックに気づかずに………

目を覚ますと、オレは病院の一室にいた。

足にはギブスが付けられ、かなりの重傷のようだった…

(ちくしょー!!なんで交通事故なんかに!!

これじゃ新車の運転も仕事も出来ないじゃないか!)

「交通事故…………

新車………」

ふとオレはアンケート用紙に書いたことと現実に起こったことが重なりあってあることに気づいた。

(ま、まさか……あのアンケート…)

「ははっ 考えすぎだよな…

単なる偶然に決まってる。」

その日の夜、

オレはふと目を覚ました。

夜中の二時を過ぎたところだった…

カツン カツン カツン……

カツン カツン カツン………

どこからか足音が聞こえてきた…

(こんな時間にどうしたんだろ……

他の患者さんがトイレでも行ってるのかな…)

カツン カツン カツン…

カツン カツン カツン……

足音は確かにこちらへ近づいてきていた。

カツン カツン カツン…

カツン カツン カツン……

(あれ……こっちに向かってるぞ…だいぶ近くなってきた。)

カツン カツン カツン

そして足音はオレの病室の前で止まった…

(一体なんなんだ………)

オレは寝たフリを続けた…

そして足音は部屋の中へ入ってきた。

カツン カツン…

カツン カツン カツン…

オレのベッドの前まで足音は来ていた……

「あの〜……」

オレは聞き覚えのある声に背筋が凍りついた…

(あの少女だ……

なんでこんな時間、こんなとこに!?)

オレがそっと目を開けると

そこには目がくり抜かれ、鼻はそぎ落とされ、歯はバラバラになり、

とても生きている人間とは思えない顔がオレの顔を覗いていた……

「あなたが思う最も残酷な死に方は?っていうアンケートをとっているのですが……」



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