カウントダウン(2)

創作の怖い話 File.115



投稿者 でび一星人 様





ガラガラガラ・・


 5時限目は国語。

国語教師の【ウッディー】が入ってきた。

ウッディーは本名【内場】というらしいが、

まだ24歳という若さのため、皆からウッディーと呼ばれとる。

 そこそこ男前で、女子生徒からラブレターなんかもちらほらもらっとるらしい。



 「やぁ!午後の授業、始めるよ!」

いつもの如く、ウッディーはカウボーイみたいな帽子を人差し指で少し上げて、白い歯をキラリと光らせた。



 ウチとしては、コイツのように爽やかな男は見たくもない・・。

ハッキリ言って【キショイ】。


 「さぁ!今日は198ページだよ! 教科書を開いて!」

ウッディーのテンションが妙にイラツク。

 声が異常に通るので、睡眠すらとられへん。


 ガタッ。


席を立ったウチに、皆が注目した。

「ん?どうしたんだい?八木さんっ!」


ウッディーが、まるでオペラのよう体を斜めにし、両手を広げてウチに問う。

「・・はぁ。ちょっと調子悪いんで、休んで来ますわ。」

「何っ!体調が悪いのかい?八木さんっ! それはいけない! 保健室に僕が案内しようっ!」

「い、いや、結構ですわ。 一人で行けますさかいに。」

「ダメダメ!女の子なんだから、 さぁ。遠慮せずに!いくよ!」

「いや、マジ結構なんで。」

「いいから、さあ!行こう!」

・・・この手のタイプは、マジ苦手や・・・。



 結局、この後五分ほど着いて来る来ない論争を行い、

【アノ日】という事にしてようやくウッディーを納得させ、ウチは昼寝しに体育館裏の例の場所に歩いて行った。

体育館に向かう途中、ふとカベに貼ってあるポスターが目に入った。

【平成20年度非行撲滅運動!】


 なにやら、こじゃれた絵が描いてある。

ウチは絵心0やから、良くは解らんけども、

そこそこ上手い大人受けする絵なんやろな〜っていうのは解った。


 階段を下り、体育館裏へと進む。

普段はそんな事しないのだが、

何気に階段を数えながら降りてみた。


18…19・・・。


この階段は19段らしい。


・・・いや、だから何って言われても困るんやけどね・・・。

 階段を下り終え、裏庭を通る。

裏庭の木にはナイフか何かで削ったように、

【18】と刻まれていた。

「ふ〜ん・・。誰がこんなん刻んだんやろ?ていうか、こんな傷、ここにあったっけ?・・・けっこう古い感じやけど・・・。」

刻まれた【18】の文字は黒ずんでいて、どう考えても掘られてから数年経ったような感じやった。


 ウチは体育館に向かい歩く。

足元に本が落ちていた。

拾ってみる。

漫画の本や。

【17歳の春】

なにやら青春っぽい漫画や。

 ウチは暇つぶしにでもと、その本を拾い、体育館裏へと尚も歩く。



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