カウントダウン(3)

創作の怖い話 File.116



投稿者 でび一星人 様





しかし、ここまで歩いてきて、何か違和感がある・・・。

一体この違和感は何やろう・・・。


 裏庭を通り、体育館裏へ行くには、職員室の窓の外を通らないと行けない。

さすがに、大人数人がいたら呼び止めてくるだろうから、ここだけはしゃがんで通る。


『・・・さぁ〜バッターはイチローです・・・。』


職員室で、どの先公かは知らんけど、テレビでも見てるんやろう。

メジャーリーグっぽい実況の音が聞こえる。

でもそんなの関係ねぇから、ウチは【ハイハイ】しながら進んだ。


 職員室を抜け、膝の所を払い、ようやく立って歩く。

職員室の横は、【囲碁部】の部室らしい。

囲碁の盤が並べてあった。


 囲碁部の部室を抜けると、 物置部屋が見えた。

運動会で使うやつやろうか?

【14】と書かれたゼッケンが見えた。

・・・ん?


ここで、ようやくウチはある事に気がついた。


ここまで、何気に見てきたもの・・・。


 平成20年度非行〜のポスター・・・

 19段の階段・・・

 18と刻まれた木・・・

 17歳の春 という題名の、さっき拾った本・・・

 職員室から聞こえてきた、『イチロー』(16)

 囲碁部の部室・・・(15部)


 そして今目に入っている、

【14】のゼッケン・・・。



 もしかしてこれは・・・。






 カ ウ ン ト ダ ウ ン し て い る ? ? 

「まっさかなぁ〜。 そんなこと、あるワケあれへん。たまたまや。たまたま。 はっはっは。」


 ウチは笑ろうた。

こんな偶然が起こったんや。

弟の鎌司にでも今夜話そう。

良え笑い話になるで!


・・・しかししばらく歩くと、そんなウチのテンションが一気に下がる。

目の前に、座れるくらいの大きな石があった。

 その石には、でかでかと、血で書かれたように、【13】の文字。

 その文字は書きたてのようで、ところどころ血の雫が垂れていた。


 (たまたま・・・。 やんな・・・。たまたま。たまたま。)


 体育館裏に向かい更に歩く。


 地面に体をズタズタにちぎられたムカデが落ちていた。

 体は12個にちぎられていた。


バタバタと、ムカデは体をちぎられたのに動いている・・・。



 尚も進む。


 落ちていた11人の生徒が映っている写真を見ると、 白いモヤのように女の人が映りこんでいる。



 バラバラにちぎれた、10個の数珠の玉も見かけた。


 木の上から。9匹の毛虫が落ちてきたりもした。



・・・ 

さすがのウチも、少し怖くなってきた。


偶然にしては、あまりにも順序が良すぎる・・・。


 なんとなく、第六感が働いてか、ウチは周りを気にするように歩く。

しかし、そこからは特に何も見かける事なく、無事に体育館裏へと着く事が出来た。


 「ふぅ。」

安堵のため息をつき、ウチは段差のところに腰かける。

「・・・ん?」


ふと下を見ると、キレイに折りたたまれた紙が落ちていた。

不思議に思いながらも、ウチはそれを拾って、広げてみる。


・・・文字が書いてあった。







【アト 8 ダネ  ムカエニ  イクヨ】






 ウチは立ち上がり、辺りを見渡した。


・・・しかし、人の気配はまったく無かった。


 ウチはその紙をくしゃくしゃに丸めて、投げ捨てた。



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