廃病院の地下(1)

幽霊の怖い話 File.37



 ネットより転載





まだ俺が大学にいた頃だからもう二、三年前になると思う。

田舎を出て県外の大学に通ってた俺に、実家から婆ちゃんが倒れたって電話があった。

昔から色々と面倒見てくれてた婆ちゃんで、俺はすぐさま実家に帰って病院に行った。

幸い、婆ちゃんは大事には到らなかったんだけど、

俺はもしもの場合に備えて一週間かそこらまでバイトも大学も休みをとっちまってた。

家にあった俺の部屋は弟に使われてたし、

居間でゴロゴロしてても退屈だったから俺は県内に残ってる友達に電話をかけた。

みんな仕事に就いてたり専門行ってたりと忙しそうだったけど、やっぱり暇人はいるもんで、

県内の大学に行った友達が三人、次の日から会うことにした。

つっても本当に実家のある町っていうか県そのものが田舎なんで、

やることって言ったらカラオケとボウリング、あとは車で三十分かかるネカフェでダーツやらビリヤード。

飲みにいこうかって話も出たんだけど一週間分の稼ぎがなくなった来月のことも考えて俺が断った。

だから俺らがやれるっていったらぶらつくのに飽きてファミレスのドリンクバーで粘るみたいなことしか出来なかった。

あと二日で俺が帰るっていう火曜の夜に、

帰ってきてからずっとツルんでた三人のうち二人と例の如くファミレスでダベってた時だった。

俺「マジ暇じゃねぇ?相変わらず何もねぇなココ」

A「そりゃトウキョーに比べたらな。いいよなお前は県外で」

B「んじゃあさ、あそこ行ってみねぇ?」

Bが行ったあそこっていうのは地元に済んでる俺達の世代では有名な場所である廃病院のことだった。

ウワサじゃ手術室にはまだ機材やらメスやらがまんま残されてるだとか、地下にひからびた死体がまだ残ってるとか、

看護婦の幽霊が出るとか、まぁそういう場所には必ずウワサされるような話ばっかだった。

正直俺は内心ビビってて気乗りしなかったけど、

AとBが盛り上がって三人内の最後のCにまで連絡つけて、後からCは現地に来ることになった。

その廃病院は結構昔に潰れたそうで、俺らが住んでる町よりも田んぼや畑やらが多い村の、人気の無い場所にある。

田舎は土地が安いからかどうなのかは知らないけど、三階建ての、出来た当時は結構立派だったと思わせる外見だ。

A「俺の先輩の友達がここに来てタバコぽい捨てしたら急に変になってさ、ひたすら×××町に帰る、

×××町に帰るって言いながらやべぇことになっちまったって。その人△△に住んでるのに」

そういうことは来る前に言えよと内心キレかけた俺だったが、

ビビってると思われるのもイヤだったんで「へぇ」と軽く流した。

病院の周囲には少し離れたトコに田んぼとかポツポツと街灯があるだけで、

入り口の正面のガラス張りの扉には鎖と南京錠で厳重にカギがされてた。

たまに俺らみたいな暇なやつらが来るからかゴミやらイタズラ書きなんかが酷くて、

窓ガラスも一階部分のは殆ど割られてた。

俺「んじゃどうする?C待つ?」

A「いいじゃん先に行ってようぜ。どーせ車あるからわかんだろ」

B「じゃあ俺先に行くわ。こっちの窓から入れっから」

コンビニで調達した安っぽい懐中電灯をそれぞれ片手に持ち、俺らは病院の中にはいった。

今思えばマジでやめとけばよかった。




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