こはるちゃん

創作の怖い話 File.98



投稿者 でび一星人 様





「おかあさん、ばいばい。」

「ばいばい。」

ぼくの名前は、やぎ かまじ 3さい

隣にいるのは、おねえちゃんの なべい

保育園のみんなは、【かーくん】【なっちゃん】ってぼくらをよぶんだ。

「じゃあ、おかあさんお仕事行ってくるね。 ちゃんと先生のいう事聞くんだよ!」

「はーい」

「はーい」

おねえちゃんとぼくは、 フタゴっていうらしい。

一緒に産まれてきて、これは珍しいことみたいだ。


市帆先生は、おかあさんに愛想よく手をふって、おかあさんが見えなくなってから、

「ほら!とっとと教室に行きなさいよ!」

って、ぼくらの背中をおした。

教室にはいって、皆の輪の中にはいる。

「なんやねん。おまえジャマやぞあっちいけや。」

って言われてぽんって、押された。

ぼくはいつも端っこに追いやられようとする。

なんでかな。

でも、大丈夫なんだ。

「お前があっちいけや!」

おねえちゃんが、その子をつきとばしてくれた。

その子は数メートルほど転がっていって、泣いた。

「かーくん、あんな奴らほっときや!」

おねえちゃんはぼくの頭を撫でてくれる。

おねえちゃんはぼくにはやさしいんだ。

おねえちゃんは皆のにんきものだ。

おねえちゃんはけんかがすごくつよい。

ぼくとおんなじ顔してるのに

ぼくとぜんぜんちがう。

むしろ、ぼくはおねえちゃんに無いものが生えてるのに、

ぼくはおねえちゃんよりよわい。

でも、いいんだ。

ぼくは皆の真ん中にいるおねえちゃんをおいといて、端っこに行った。

ぼくは端っこが好きだから。

「こんにちは。」

「こんにちは。」

はしっこにいつもいる、木春ちゃんと遊ぶんだ。

小春ちゃんはぼくといつもおはなしする。

小春ちゃんはいつも端っこにいるんだ。

ぼくらがお家に帰っても、ずっと端っこにいるんだ。

そして小春ちゃんは僕以外の子には見えないみたい。

小春ちゃんはおもちゃを持ったりもできないみたい。

でも、いいんだ。

小春ちゃんとお話するの、楽しいもん。

小春ちゃんはおねえちゃんも見えないみたいで、

おねえちゃんはいつも僕に

「かーくん!何やってるん。 一緒に遊ぼうや。」

って誘ってくれる。

でもぼくは、くらすめいとのたけし君たちとは遊びたくないから端っこにいるんだ。

今日は小春ちゃんとうちゅうのおはなしをした。

あしたはどんなおはなしができるかな。



あと、

小春ちゃんがいつもまっかに濡れてるのが、寒そうで気になります。




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