愛しい人よ・・・

創作の怖い話 File.78



投稿者 dekao 様





愛しい人

愛しい人よ

下らないと思わないかね?

嫌な時代だと思わないかね?

世間は魔女裁判で、偽りの魔女をでっち上げるので大騒ぎだ。

この乱痴気騒ぎは、全くもって堪え難い。

理論的に、この世に魔女など存在するはずもない。

そして…私は病んでなどいない。

それは、愛しい人

君にも分かるだろう?

この窓すら無い、温もりの欠片すら無い石の壁で囲まれた

この部屋。

病んでいるとするならば、この部屋が病んでいるのだよ。

君、君よ。

愛しい君よ。

女性が

そんなに、けたたましく笑ってはいけないよ。

まるで

君が十字架に架けられ

体中が炎に包まれた時みたいじゃないかね。

それまで、必死に自分は魔女ではないと叫んでいた君が、

急に笑い出した時のようだね。

…私も少しだけ、笑ってみよう。

「…クク」

「…ケケケ」

「カカカ」

成る程、これは素晴らしい!!

全ての煩わしさが

消えてゆく

消えてゆくよ…。

愛しい君と私、二人だけで

ずっとこのまま、笑いながら生きていこう。

きっと、クケケとてもカカカカカカ幸せギシシクケケなキキキキキキキキ誰かケケケケケケ助け

ギシシ愛しいギシシシたすカカカカカカイーッヒヒヒヒたすけたすけたすケたすケケケけたしけたさたけタケス君よ

さなタかはテかサたしああアハハたすハハギッ!!


見張りA:…おい、あの元貴族また笑ってるよ。
見張りB:あぁ、恋人が貼付けにされた後、おかしくなったアイツか。
見張りA:誰に話しかけてんだ?
見張りB:知るかよ! さ、仕事だ仕事。
見張りA:…なんだか…幸せそうだよな。
見張りB:お前、代わりに入るか?
見張りA:からかうなよ。死んでもごめんだよ。
見張りB:さぁ、行こうぜ。まだまだ病室はあるんだから…。



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