収容所

創作の怖い話 File.34



投稿者 ストレンジカメレオン 様





「判決!!無期懲役!!」

オレはそう下された……

目隠しをされ暗闇の中、収容所へと運ばれた……

とてもさびれた収容所である。まあ罪を償うには、もってこいの場所である………

オレは独房へと入れられた…… 中には汚いトイレしかなかった………

布団も机もなく、なんにも出来ない、することがない部屋であった…………

独房に入れられたオレは必死に記憶をたどった。

たしかにオレは強盗、殺人、薬物などの犯罪を犯してきた。

だが警察に捕まった記憶はない………

気付いたら裁判を受けていた……

誰がオレを捕まえたんだ!?

まさか仲間の誰かが気付かないうちに裏切り行為を働いて、

オレの知らないうちにオレを警察に突き出しやがったのか!!

そんな考えが思いついた瞬間、いままで仲間だったすべての奴らがひどく憎く感じた。

「この収容所を脱走したら、あいつら全員ぶっ殺してやる!!」

オレの頭の中はまだ確かでない仲間の裏切り行為への憎しみと脱走のことでいっぱいになった…………

しかしこの収容所でのシステムでは脱走するのは絶望的であった…

なぜなら普通の収容所なら朝の集会や仕事の時間など1日のスケジュールがある。

だがここの収容所にはそんなスケジュールは無く、ただ独房にずっと入ってるだけであった…………………

面会などもなにもなく、することもなく、ただただ部屋の中で時が過ぎていくのを待つだけである…………

「死ぬまでこうしていなければいけないのか……」

オレは何日かたつと、仲間への憎しみや脱走のことなど忘れていた。

というのも何にもすることが無く、誰とも会話することなんてない、外の景色だって見えない……………………

頭がおかしくなりそうだ…

「一体何なんだ!?この収容所は!!」

オレは何かすることが欲しかった。重労働でも何でも……

「おい!!なんか仕事やらせてくれよ!!オレは罪を償うためにここにいるんだよ!!

オレ死ぬまで働くからよ!!なんか仕事させてくれよ!」

オレは叫んだ…

カツッ カツッ カツッ カツッ…………………………

部屋の外から足音が聞こえた………

「おい!!聞こえるだろ!!なんかオレに仕事をくれよ!おい!!少しでいいからここから出してくれ!!

気が狂いそうなんだ!!」

カツッ カツッ カツッ カツッ……………………………

足音はオレの部屋の前で止まった………

「お前はここから出たいか?」

ドアを挟んで男がオレに話しかけてきた…

「たのむ!!なんでもやる!!だからここから出してくれ!」

「フフフ、とは言っても君をここから出すことは出来ないよ、

君が思ってることはここの収容所に入っている他の罪人も思ってることだよ、

君だけ特別扱いするわけにはいかない、

ちなみにここでの無期懲役は死刑よりも断然苦しいってことで有名だよ、フフッ」

カツッ カツッ カツッ カツッ カツッ………………………………

そう言って男は行ってしまった…

オレはどうすることも出来ないか…………………………………

こんな時間を過ごすくらいなら死んだほうがマシだ!!

そう思い、自分の手を首にまわした……

そして思いきり力を入れ、自分自身の首を絞める……

………苦しい……苦しい………苦しい……だけどこれで死ぬことが出来る……

意識が遠退く……

………………………………………………………

だが眠りから目覚めるようにオレは普通に起きた。

「死ぬことが出来なかったか!もうこの部屋の壁を見るだけで吐き気がする!!」

オレはもう一度、自分自身の首を絞めた。

苦しい…………本当にとても苦しい…………

死ぬ苦しみを二度も味わうなんて………………

でも今後こそ、これで終われるはず………

意識が遠退いた…

…………………………………………………………
またも普通に目覚めてしまった…

「もう嫌だ!!何でこんな収容所にいなきゃいけないんだ!!オレは一体どこでへマをして捕まったんだ!!」

………………………………………………………オレが何を思おうが周りは全く変わらなかった…

…………………………………………………………もうここに来て何十年になるだろう………

あれから何回も自殺を試みたが、悉く失敗してきた………

自殺はあきらめて老衰で死ぬ日を待ちわびていたオレだが、ここで何十年たったかは知らないが、

本来ならオレは爺さんになってるはず………

しかしオレの体は全く衰えることなく、ここに来た時と全く変わらない……

「もうそろそろ、オレは寿命のはずなのに!!」

…………………………………何もすることがなかったオレは今になって、ここに来た時の事を思い出していた……

「たしか、気付いたら裁判受けてたんだよな……その前の記憶は…………………

………たしか……………………………………オレは銀行強盗をしていたんだ!!

それでいつものように外で仲間と合流して車に乗った………………………………

………それから……………………………………………………………はっ……そうだ!!

逃げるために荒い運転をしていて、信号を無視したら大型トラックが……

……………………………ダメだ、そこからが思い出せない…」

カツッ カツッ カツッ カツッ カツッ カツッ

足音がオレの部屋へ近づいてきた…

カツッ カツッ

そしてオレの部屋の前で立ち止まった。

「調子はどうですか?もうそろそろ老衰で死ねると思ってらっしゃったでしょ?

でも体が衰えていないって思ってますよね?そろそろお気づきですかね?

あなたは………………

すでに死んでるんですよ。

つまりここでの無期懲役は無限懲役ってことです。あなたは死ぬことさえ許されないのですよ。」

………………………………そうか、オレはあそこで人生を裁かれていたのか……

……………………………………………………そして判決がこの無限懲役………………

ハハハ……………………永遠にこんなのが続く………………………のか…………



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