解決法

創作の怖い話 File.31



投稿者 ストレンジカメレオン 様





「もういやだ………………………助けて………もう限界だ…………」

オレはある日を境に恐怖とこれ以上無い苦しみを味わっていた……

始まりはありふれた日常からだった………

大学の授業を終えるとバイトへ向かう。

バイトのない日は友達とカラオケへ行ったり、飲んだり、まさに大学生って感じの生活である。

1日の予定が終われば一人暮らしのオレはアパートに帰る。小さな住処だが一人暮らしを楽しく満喫していた。

趣味は野球だったりカラオケだったりダーツやビリヤードもする。

それに加え、怖い話が好きなオレは携帯で怖い話を探しては読みあさるという趣味もあった。

いつものようにバイトを終えて家に帰宅する。

着替えを済ますとオレは早速携帯を開き、怖い話を探し読みあさっていた。

中には読めば呪われてしまうという話もいくつかあった…

そんなことは気にせず、オレはいくつもいくつも読んでいった……

その中には冗談抜きで読んではいけないものもあったことを知らずに………………

その日、バイトから帰ってすぐに、時間を忘れ、いろんな話を読んでいた…

「あれ!もうこんな時間か!!そろそろ風呂入って寝る準備するか!」

そう思ってオレは風呂へ向かった、

洗面所にて服を脱ぐ…

すると洗面所の電気が消えてしまった…

(こんな時に、蛍光灯ぎれか……)

暗闇の中、ほのかに鏡に映る自分、鏡を見てため息をひとつ…

その瞬間…

鏡の奥で何か動いたように見えた…

(………!!)

オレはすぐに後ろを振り向いた。

「気のせいかぁ……疲れてんのかな…」

あまり鏡に映ったものを気にせずに、オレは風呂へ入り、シャワーを浴びた。

「シャーーーーーーーーー」

(ふう…気持ちいいなぁ…………………………………………………………!!!!!)

急に洗面所の電気がついたのがドア越しに見えた………

しかも誰かがいる!何やら洗面所で人影らしきものが動いている!

「誰だ!!!」

オレはドアを強く開けた!

ダッダッダッ!

人影は洗面所をぬけ、玄関へと逃げていった……

(確実に誰かがいたぞ…こんな時間に…泥棒か…?もう入って来なければいいが…

…とりあえず風呂から出よう)

風呂から出たオレは外を軽く確認しようと、玄関へ行く…

「あれ!!鍵は掛かったまだ!……………………………………ということはまだ家の中に!?」

小さなアパートをくまなく人が一人潜んでいるかどうかを確認するのは容易なものであった…………………

が、全く人が潜んでいる気配などなかった……

(おかしいな…………確かにさっきは人の気配があったのに…………………………

…………!!!!!!!)

オレはあることに気付いた。

(たしか鍵は掛かったままだった!なら一体どうやってこの部屋に入ってきたんだ!?

ここは三階だし窓から入るのは不可能な家の造りになっている………………

……………………………オレが見たのは幻覚だったのか……………気味が悪い…

……………………………………………………今日は早く寝よう………きっと疲れてるんだ…)

おれはその晩、奇妙な夢を見る。

倉庫の中にわら人形が山のように積んであるのである……

オレはなぜか物陰に隠れてそれを見ている……

すると突然、

「ガラ ガラ!!」

一人の男が倉庫のドアを開け、中に入ってきた…

そしてわら人形を一体手にした…

どうするかと思いきやいきなりライターでわら人形をあぶり出した………

わら人形はこげて真っ黒になった…

すると男はもう一体のわら人形を手にして、今度は置いてあった汚い水の入った水槽にそれを投げ入れた。

さらに、もう一体こんどは力任せにバラバラに引きちぎった……

男は次々にわら人形を手にしては、焼いたり、刺したり、

踏みつけてペシャンコにしたり、わら人形をボロボロにしていった…

男の表情はとても楽しそうだった………

わら人形が相手だがオレは異常者が殺人をしている風景を見ているような感覚に襲われた…

恐怖から心臓の鼓動が早くなり、オレは物音をたててしまう……

「ガタッ!!」

男はこちらに気づき、ゆっくりと振り返る……

恐ろしい形相である、この表情を何と表現すれば良いだろうか、…………………

……………そう般若のような形相で振り返りこちらをじっと見ている。

次の瞬間、

オレは完全に男と目が合ってしまった…

男はニヤリと笑い………………………………

「今度はお前だな!!」と一言。

ここでオレは恐怖からか、目を覚ます。

(なんて気味の悪い夢なんだ……………………)

夢から覚めたオレは後味の悪さを覚えながらもいつも通り、大学へと向かった。

授業が終わると、いつも通り友達とくだらない話で盛り上がった。

夢のことなど完全に忘れていた。

大学が終わり、そのままバイトに向かう。

いつも通りバイトも終え、いつも通りの道で家へと、もどった。

家の鍵を開け、いつも通り怖い話を今日も読もうと思い、部屋へと向かう。

部屋を見ると、いつもは無いものがそこには置いてあった……………………

オレは背筋が凍りついた………………

焦げたわら人形が一体、部屋の真ん中に置いてあったのだ……………

オレは昨日見た夢を思い出した……

(まさか………)

気持ち悪くなったオレはわら人形を窓から投げ捨てた。

(なんなんだ…なんの嫌がらせだ!!昨日見た人影は幻じゃなかったんだ!!

きっとあいつが犯人だ!今度気配を感じたら絶対捕まえてやる!)

この日、オレは電気を消し、わざと鍵を開けっ放しにして、寝たふりをしていた
…………

すると玄関のほうで

「ガタガタッ!ガタガタッ!」

物音がする……

(来たな……捕まえてやるぞ…)

オレは身を起こし、玄関に向かおうとしたが…………………………………………

…………体が動かない……………金縛りか……………

「ギシ ギシ」

一歩一歩気配はこちらに近づいてくる。

「ギシ ギシ」

部屋の中に誰かが入ってきた………

そして…

「バシャ! ビシャ!」

なにやら水を部屋中に撒いている。

…………いやこの匂いは水ではなく灯油だ………!!

「シュッ シュッ! ボッ!」

マッチに火がつく音がした……

(まさか…………やめろ!!)

オレの無力にも動かない……

マッチの火は部屋に撒かれた灯油に引火し、一気に勢いを増して燃え上がる。

何者かの気配は玄関へ戻っていく……

火は部屋の入り口で燃えていたが、ジワジワとこちらに到達してきた…

そして足に火がかかる……

(熱い!!熱い!!……痛い!!!……………苦しい!………)

下半身はもう燃えてしまっているだろう………痛みの感覚が少しずつ下半身から上半身に移っていく…………

足の先は熱さと痛みの限界を超え、その感覚を失っていた……

(誰か………誰か…………助けてくれ…………死んじゃうよ……………オレ………………苦しい……)

尋常ではない痛みと苦しみを味わいながらオレは意識が消えていった…………

(はっ!!………………………)

オレは意識がもどった!

周りを見ると何も燃えていなかった…………

(夢だったのか……………ハハ……………………なんてリアルに痛みを感じる夢だよ…………

はっきし言って夢なんてもんじゃない)

起きると体中汗がびっしょりであった………

シャワーを浴びるため、洗面所で服を脱いだ……

鏡に映った自分を見てオレは目を疑った………………

オレの体は全身、青あざになってしまっていた……

(どうなってるんだ、夢の影響なのか……………………………………ありえない…

…………ありえない………………)

オレは恐怖のどん底に落とされていた………

頭の中が混乱したような状態のまま、学校へと向かった……

その日、オレは誰ともしゃべることはなかった…………

バイトも休み、授業が終わるとすぐさま家へ帰った…

早く横になって休みたかったオレは家の鍵を開け、すぐに寝ようと思い、部屋に入った…………

すると一体のびしょ濡れのわら人形が置いてあった…………………

「まただ…………………またわら人形が置いてある…………………あの男の……

…あの夢で見た男の…………………呪いだ……」

オレは今日は寝たふりはせずに、すぐに寝ることにした…

しかし恐怖からか、なかなか寝付けない…

睡眠薬を買いに行こうと薬局へと向かった……

睡眠薬を買って家に帰ると、すぐにそれを口に入れ、眠りについた…………

目を覚ますとオレは手足を縛られていた………

目の前には、水が流れている…

かなりの異臭は放っている……

どうやら下水道のようだ………

嫌な予感がした……

後ろから背中を押されオレは下水道に落ちた………

手足を縛られているオレはもがくことも出来ず、苦しみながら溺れていった……

…………………

目を覚ますとやはり自分の部屋にいた…………………………………

(まさかこのまま毎日こんな死ぬ苦しみを味わなければならないのか…………………)

この日大学へ行っても全く授業に集中することが出来ず、オレは早退をした…

家に着いたオレは鍵を開け、嫌な予感を感じながらも部屋に入った………

「もう嫌だ……………助けてくれ………………もう限界だ………」

そこにはバラバラに引きちぎられたわら人形が置いてあった……………

(もう嫌だ!!なんで!なんでこんなことに!)

「はっ!!」

オレは以前、携帯で読んだ話にオレの今の状態と似たような話があったのを思いだした。

(もしかしたらあの話を読めば、なにか分かるかもしれない!)

オレは必死で探した!!

そしてオレはその話を見つけた…

題名 -解決法-

(こんな題名だったのか…)

オレは読めば読むほどこの話の主人公は今のオレの境遇に近いことを感じた……

そして一番最後に解決法が書いてあった!!

<呪いの解決法>

この体験を公の場に書き記し、皆にこの呪いの存在を知ってもらうこと…………




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