奇妙な1週間(6)

創作の怖い話 File.261



投稿者 でび一星人 様





四日目の夜が訪れた。

この【怪談の会】が開始されて三日目。

テーブルに着いた七人の男女。

その輪の中、

下山静香と樽田出不夫がなにやら話しをしている・・・。

「・・・ちょっとアンタ、なにさっきからジロジロ見てるのよ。」

「い、いえ・・・何も・・・。」

下山はとてもツンツンしている。

「・・・気持悪い男・・・ちょっと離れて座ってよ。」

「あ、は、はい・・・。」

樽田は素直にイスをずらして下山と距離をとった。

ドン。

と、反対隣に座る吉田里美にぶつかってしまった。


「・・あ、ぁあ、す、すいません・・・。」

樽田は慌てて里美とも距離をとる。


そんな樽田を見て、里美は優しく微笑みながら、

「あ、いいですよ。私もうちょっと詰めますので・・・どうぞ。」

と言って、席をずらした。

「ぁ、ぁぁ、あ、ありがとうございます。」

樽田はそう言うと、ズズっと里美の方に身を近づけた。

「・・・フン・・・。」

下山は不機嫌そうにそのヤリトリを横目で見た後、顔を背けた。



 「さあ、皆さん、私語はそこまで。会を始めましょう。」

世話役のデビロが無表情でそういうと、皆は黙ってデビロの方を向いた。


「・・・今宵お話していただくのは・・・

狩羽健治さんです。

見事、38票でダントツ1位です。」

それを聞いた狩羽は満面の笑みになった。

「え?僕ですか?

やった!

皆さんありがとうございます!

いやぁ〜

今日じゃないと、何話そうかなって思ってました。

それじゃあ、話しますね。

・・・このお話は、

今日やるからこそ、

とても【効力】が上がるんですから・・・。

フフフフ・・・。」

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 【3の呪い】



ねぇ


皆はさ、


【3の呪い】って、知ってる?


知らない人も多いよね。


そもそも、数字の【3】なんて、

誰でもどこでも使うもんね。




もしかしたら、使わない日なんて無いかもしれないくらいだよね。





 今から話すのは、



そんな数字の【3】を用いた呪術だよ。



ひょっとしたら、



皆、気づかないうちに、













誰 か を 呪 っ ち ゃ っ て る か も ね 。








人を呪わば、穴二つ。






必ず返って来るよ。





自分がかけた呪いは、自分にね・・・。





【3の呪いの使い方】



―用意するもの―

基本は紙とペンがあればけっこうです。

興味ある方は、実際にやりながら、↓を読んで行って下さい。

(後で呪いの解き方も記しますので、是非お試し下さい。)



 1  : まず、紙を1枚用意します(メモ長サイズでも、ノートサイズでも、大きさは問いません。)


2  : その紙に1から3までの数字を縦に書きます。



 3  :その、1〜3のどれかの数字(パっと浮かんだ数字)の横に、死んだ知り合いの名前を書いてください。

 4  :次に、あなたが【好きな相手】の名前を、残りの二つの数字のうちどちらかに書いて下さい。


5  :残った数字の横に、あなたが【呪いたい人】の名前を書き入れて下さい。
    (呪いたい人がもし居なければ、少し嫌いな人の名前で結構です。)




・・・できましたか?













実際に紙に書かれた方、














手元の紙には、、













2に、あなたの呪いたい人がきませんでしたか?





というか、




1が死んだ人、




3が好きな人






こうなりませんでしたか?













 上の順になった人は、


























とても呪いの力が強い人です。















【3】という数字には気をつけてください。
















悪魔は【3】を好むのです。














あなたがもし、【3】という数字と接してしまった時、それは、


















悪魔とあなたが通じる可能性が高い時なのです。








 あ、そうそう、この呪い法を使った知り合いの話なんですが、





知り合いは部活でレギュラーになる事が出来ず、





同じ部員のレギュラーの友達に対して、この呪いを使いました。








大会直前に、そのレギュラーの子が骨折しましてね、





知り合いは、見事レギュラーになる事が出来たんです。













・・・ですが、試合中にありえない転び方をして、首の骨を折ってしまいましてね。




今は半身不随状態で、生活保護を受けています。







 やっぱりいけないんですよ。


呪いなんて使ったら。




さきほど書いた紙を見てください。







呪いの力が強い弱いにかかわらず、







さきほどの作業で、呪いは成立してしまっています。






今の紙に書いた、



【3】のところに書いた人に、





あなたは呪いをかけてしまったんです。





もう一度手元の紙を眺めてみてください。








どうですか?







2の文字が、




少し揺らいだり、





3の文字が、



最初書いた書体と、あきらかに違う形になっていたり、




そんな気はしませんか?





誰かを呪ってしまった場合は、





自分にもそれ以上の不幸が降りかかります。







きっと後悔する事でしょう。











ただ、



安心してください。





この呪いを解く方法があります。





これからその方法を記しますので、





間違える事なく確実に実行して下さい。








まず、頭の中で緑色をイメージして下さい。




大きな大きな緑色




そしてその緑の上半分を、



水色にして下さい。




どうでしょう。


【草原】の景色に見えてきませんか?




緑の大地と、青い空は邪悪な気を中和してくれます。



その草原をイメージしながら、




まず手元の紙の右下に、


そうげんの【そ】を書き込んで下さい。




次に紙の左下に、



そうげんの【う】を。




紙の右上には、


そうげんの【げ】を。




そして最後に紙の左上に、




そうげんの【ん】




これで、



今あなたが施した呪いは約8割中和されました。



イメージした聖なる草原が、紙に宿ったのです。





後は最後の仕上げです。



紙の上半分に大きな【×】を書き込んでください。



これは悪魔の飛び交う空を封じる行為にあたります。




そしたら、その【×】を書き込んだ上半分と下半分を切り離して下さい。


破っても結構です。



そして【×】が書かれた上半分はくしゃくしゃに丸めて下さい。






これで、呪いは解けました。



おつかれさまでした。




残った下半分の文字でも読んで、今日は良い夢を見てください。



ご静聴、ありがとうございました。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「・・・。」

「・・・。」


全員が無言だった。

冷たい視線が狩羽に突き刺さる。


「い、いやぁ・・・イエイ」

狩羽はピースをした。


デビロは静かな表情で狩羽を指さした。

そして一言、

「・・・お前、今、暫定最下位・・・。」

「ええーーーっ!

禁断の順位バラシっすか!?」

狩羽は両手で頭を抱えてデビロに言った。


「当たり前だよ!お前、この会を舐めてるよ。

空気読めよ!」


「す・・・すいません・・・。CYで・・・」


「KYだよ!」



・・・こうして、デビロは男子高校生が嫌いになった。





 

 一人を残し、皆が部屋に帰ったこの部屋。

今日はデビロも不機嫌のために帰宅してしまった。



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