CROSS(4)

創作の怖い話 File.221



投稿者 でび一星人 様





男は冷蔵庫を開けた。



そして一言。


「・・・お茶が無い・・・。」


バタン。


男は軽く怒り交じりな感じで冷蔵庫の扉を閉じた。


男は冷凍庫を開き、コップに氷を入れ、水道水を注ぎ、それを飲んだ。


そして一言。


「・・・ぷはー(オッサン)、美味い・・・。」




その隙を、ウチは逃さなかった。



パチン!


台所の電気を着け、ウチは男の背後に回る。



「誰や!オマエ!」


ウチがそう叫ぶと、男はゆっくりとこちらを向いた。




・・・その瞬間、ウチは安堵した。


「・・・何や・・・鎌司か・・・。」


「・・・あ・・・姉ちゃん・・・。」



人影は、双子の弟【鎌司】だった。


「鎌司やったら、はじめからそう言えや!変な汗かいたわ。」

「・・・姉ちゃんこそ・・・なんでそんな所に隠れてるんだよ・・・。」


「フン!まあエエわ。

とりあえずウチは部屋戻って寝るから。

おやすみ!」


「・・・いつも勝手だね・・・


おやすみ・・・。」



ウチは鎌司と二言三言会話をし、自分の部屋へと戻っていった。


鎌司も、自分の部屋の方へと歩いていった。



タンタンタンタン・・・


階段を上るウチ。


・・・。


・・・。


・・・。


ん!???????????




鎌司!?????????????




鎌司は・・・弟は・・・。






 四 年 前 に 死 ん で い る  !




ドタドタドタドタ!!

ウチは階段を駆け下りた。





ドタドタドタドタ!


なんと、鎌司も向こうからこちらに向かって走ってきた。



「ひゃぁ〜〜〜〜オバケ〜〜〜〜!」


ウチはまた、自分の部屋の方へと走った。


っていうか逃げた。



ドタドタドタドタ!



そんなウチを、鎌司のオバケは追っかけてきた。



「ひゃぁ〜〜〜〜〜!」

ウチは自分の部屋に入り、鍵をかけた。

ドンドンドン!

「・・・姉ちゃん!・・・出てきなよ・・・。」


外で鎌司のオバケが呼んでいる・・・。


「ウ・・・ウチに何する気やぁ!鎌司ィ!

ウチを連れてく気かぁ!!!」


ウチはドアごしに必死に叫んだ。



「・・・連れてかないよ・・・。

姉ちゃん・・・とりあえずドアを開けてよ・・・。」



「嫌や!

騙されへんで!

鎌司は、ウチがパチンコばっかりやってるから怒ってるんやろ!

絶対に開けへんで!」


「・・・何だよ・・・パチンコって・・・。

姉ちゃん・・・たぶん色々と勘違いしてるんだよ・・・。

とりあえず開けてよ・・・。」


「何やねん!勘違いって!」


「・・・姉ちゃんは、思い違いをしてるんだよきっと・・・。」


「だから何やねん!思い違いって!

何も思い違いなんかしてへんで!

今から4年前、

たしかにおまえは交通事故で死んだ!

間違いないで!」















「・・・


・・・


・・・


・・・死んだのは姉ちゃんだよ・・・。」















「・・・え?」



「・・・どう記憶違いしたのかはわからないけど・・・

四年前、心臓の手術の後・・・

・・・医療ミスで・・・姉ちゃんは死んだんだよ・・・。」


「な・・・う・・・嘘や!

嘘を言うな!

ウチは生きてるで!

モヤシが・・・モヤシがウチを手術して助けてくれたんや!

モヤシのおかげで・・・ウチは生きてるんや!」





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