自動車教習所(3) |
創作の怖い話 File.217 |
投稿者 でび一星人 様 |
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N衣ちゃんは、色々あったけど、終わってみれば良い思い出やな・・・。 と思いながら、教習所を後にしました。 帰りのバスを待っている時、バス停から教習所を眺めていると、 フワフワと、白い煙のようなものが空に向かって上っていくのが目に入りました。 (あぁ・・きっと、あの女の子やな・・・。) N衣ちゃんはそう思ったそうです。 その後も、バスが来るまで、色々と思い出のあった教習所をN衣ちゃんは眺めていました。 ・・・そして、おかしな点に気づきます。 教習中の車がバンバン走る敷地内の道路上に、 男の人と女の人が立っているのです。 (何かの見学かいな・・・。) N衣ちゃんはそんな事を思いながら、その男女を眺めていました。 ・・・と、突然、その男女が振り向きました。 N衣ちゃんはその男女と目が合います。 女性の方は、胸の辺りから血が流れ出ていました。 男性の方は、口から血が流れ出ていて、手にはピストルが握られていました。 ・・・N衣ちゃんはそこでハっとしました。 そう。 教官から聞いた話は、 あるお金持ちの男が、妻と娘を撃って、その後自分も自殺した・・・という内容だった・・・。 N衣ちゃんはすぐにその男女から目を逸らしました。 しばらくしてバスが到着し、N衣ちゃんは乗り込みました。 バスはめちゃくちゃ空いていて、前の方にポツポツと2人くらいしかお客さんは居ませんでした。 N衣ちゃんは1番後ろの広い席に座りました。 カバンを横に置き、広々と席を使って寝たりできるからです。 バスのドアが閉まり、発車します。 その時でした。 バスの両側から、スーッと、 あの教習所の道路に居た男女がバスの中に入ってきました。 そしてN衣ちゃんを挟むように、男女は座ります。 N衣ちゃんは一切目を合わそうとはしませんでした。 両サイドの男女は、N衣ちゃんの耳元で、ずっと囁いていたそうです。 バスが大阪に辿りつくまでずっと・・・ 『ムスメ、ドコ?』って・・・。 「・・・それ、マジ?」 ファミレスで、N衣ちゃんと向かい合う席に座る僕は、N衣ちゃんの話を聞き終わり、そう訪ねました。 「・・・ウチが、こんな事、経験談以外で話すと思うか?」 N衣ちゃんの目はマジでした。 「・・・そっか・・・そうやんな・・・。 N衣ちゃん・・・大変やったな・・・。」 僕は何て声をかけて良いのかわからず、とりあえず慰めの意味を込めてそう言いました。 「いや、別にかまへんねんで。」 N衣ちゃんはスっと立ち上がり、伝票を手に取りました。 僕は慌ててN衣ちゃんに言います。 「あ、N衣ちゃん、今日はこっちが払うって! N衣ちゃんの合格祝いなんやから!」 N衣ちゃんは首を横に振りました。 「いやいや、ウチが今日は払うわ。 お前には、恩が出来たしな。 これくらいさせてもらう。」 「え?」 僕には【恩】の意味がわかりませんでした。 今までN衣ちゃんに迷惑は何度もかけられてきましたが、恩に思われるような事はしてあげた事が無いからです。 「いや・・・N衣ちゃん、意味わからんし・・・。」 僕がそう言うと、N衣ちゃんはこう言いました。 「いやいや・・・ その男女、お前が貰ってくれたから・・・。 ・・・気に入られたっぽいな。お前。」 N衣ちゃんはそう言うと、レジで会計を済ませ、足早に帰って行きました。 それ以来、僕は体調が優れません。 僕は霊感が弱いのか、何かを見たりとかは無いのですが、 最近やたらと犬に吠えられたりします。 N衣ちゃんは、冗談を言って僕をからかっただけなのでしょうか? それとも・・・。 ★→この怖い話を評価する |
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