疫病神様(7)

創作の怖い話 File.211



投稿者 でび一星人 様





その晩、




僕は散らかった部屋を片付け、


ご飯も腹八分に留め、



早く寝た。







 次の日、




僕はまたあの公園で優真君とキャッチボールをした。


シュッ


パシッ



「八木さん!オレ、プロのテスト、諦めませんよ!」


シュッ


ピシッ


「・・・うん。 応援してるから、頑張って・・・。」


シュッ


パシッ


「はいっ!がんばりますっ!」


シュッ


ピシッ


「・・・そうだ・・・優真君・・・自主トレするんでしょ・・・?・・・僕も付き合おうか・・・これから・・・。」


シュッ


パシッ


「・・・えっ?八木さんが・・・?


ハハハ。オレ、これでも大学で四年間野球やってたんすよ?


ブランクありまくりで、そんなデブった八木さんでは無理でしょ〜〜〜。」


シュッ


ピシッ



「・・・優真君・・・少し強めに投げるよ・・・?」



「・・・えっ?」

ピシュッ





シュルルルルルルル・・・





バシィ!!!





「は・・・速えぇ・・・。」



「・・・どう?優真君・・・。


高校時代みたいに、全力投球で何球も投げるのは無理だと思うけど、


まだそこそこはいけると思うよ・・・。」




「は・・・はい・・・。


いけると思いました・・・十分に・・・。」


優真君はグローブから真っ赤になった手を出して、


ぶるぶると振るっていた。





「・・・優真君・・・




・・・お互い・・・



・・・可能性・・・ゼロじゃないから、頑張ろうな・・・。」




「えっ・・・は・・・はいっ!」



優真君は笑顔になり、僕にまたボールを投げ返した。

その日から、僕は毎日優真君とトレーニングをするようになった。


日の光を浴びて、

部屋もきれいにして、


規則正しい生活。


 日に日に体重も減っていった。


二週間後には、5キロも減った。


・・・見た目はそんなに変わらないけどね・・・。




 将棋に裂く時間は格段に減った。


なのに、次の例会では二局とも快勝を収め、僕は無事三段リーグに残留する事が出来た。



なんだか不思議と手が見えて、


なぜ今まであんなに勝てなかったのかが不思議な感じだった。


丁度狩羽君は隣で対局していて、


「鎌司さん・・・僕と指した時は手抜いてくれてたんですか・・・。」


と、驚いた顔をしていた。


・・・手を抜いていた事なんてないんだけどな・・・。

ある日、ふとした事で、厄病神のオッサンを見た。


なにげに窓ガラスに映る自分を見た時、肩に座るオッサンを。


心なしか、オッサンは弱っているように見えた。




 少しオッサンはかわいそうだけど、僕は規則正しい生活を続けようと思う。


日の光を浴びて、

腹八分にご飯を食べて、

運動もする。


そういった生活が、


疫病神のオッサンは大嫌いなようだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



以上です。

ありがとうございました。



ところであなたは大丈夫でしょうか?


何もヤル気が出なくなったり、

なんか物事が上手く行かなかったりしていませんか?


そんなあなたは、部屋が散らかっていたり、生活が不規則になっては居ませんか?


疫病神は、現代社会ではかなり数多くの人に憑いているそうです。






 ・・・なのでもしかしたら、

あなたの肩の上に座り、


不気味に笑っている疫病神が鏡に映っているかもしれませんよ・・・。



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