河童(4)

創作の怖い話 File.200



投稿者 でび一星人 様





ギィイイィィィィィィイイイィィイィィィイィィ・・・・・










 嫌な音を立てるトイレの戸を開く。



 なんだか恐怖心が増す・・・。







 真っ暗な中、月明かりを頼りにトイレの前でイチモツを取り出す。







 ジョボ・・・




     ジョボボボボボボボボ・・・。





 怖い・・・。




怖いから、早く出してしまいたい・・・。





 しかし、飲みすぎのせいもあったのだろう。




こういう時に限って、やたらといっぱい出る。




 ジョボ・・・



 ジョボボボボ・・




    ジョ・・・ボ・・・



 ピチャン。



 ピチャン。




「おわった!」



おれは思わずそう叫び、2〜3度ブルンブルン水切りをし、外へ出た。




そして急ぎ足で百朗さんの待つ部屋に戻ろうとする。




その時だった。




「はうあっ!!!!」









 突然、腹痛がおれを襲った。



 
「う・・・百朗さんが【河童が腸を引っ張り出す】とか話をするから・・・


おなかが痛くなってきたじゃないか・・・。」



おれは我慢して、朝まで待とうと思った。




部屋に向かう・・




「あがぁはっ!!!」


声にならない声を上げてしまった。



事態は思った以上に深刻だ。




もう・・・












 産 ま れ か か っ て い る !!!!







 恐怖と苦痛が天秤にかかる。




苦痛が勝った。



おれは、離れにあるトイレへと引き返した。

ザッ ザッ ザッ・・・。


早足で向かう。


時間が無い。




 おれはトイレに入り、戸を閉めた。


・・・もちろん、電気は壊れているから点かない。





 苦痛が勝ったとはいえ、恐怖が0になったワケでは無い。


おれはマッハで出して、すぐに部屋に戻ってやろうと勢い良くしゃがんだ。




「いざ!発射!」



年甲斐も無く、おれはそう叫んだ。




・・・しかし・・・











 出ない!




ここでしゃがんで、少し安堵した為か、


便意は引っ込んでしまった。




 「な、何やってんだよ!こんな時に・・・。」



おれは気張った。



・・・だが、気張っても出てきてはくれなかった。




 しかし、波は来る・・・。




おれは怖いけど、しばらくここでしゃがんでいる事にした。






 ガサガサ・・・





   ガサガサ・・・






 キィキィキィ・・・。






 外からは、風なのか、動物なのか、



草の揺れる音と、なにやら鳴き声が聞えてくる・・・。

そして、気のせいかもしれないが、






トイレのすぐ外に、




なにやら気配を感じる・・・。








「うう・・・はやく出てきてくれよ・・・。」






 恐怖が心を支配する。








 数分ほど、そうしてしゃがんでいただろうか。






「き、来た!波が!!!!」




 便意がようやくやってきた。





 カサカサ・・・




    カサッ・・・。




 気のせいか・・・?



外から感じる気配も、よりいっそう強くなった気もする。



でも、



出さなきゃ戻れない・・・。















おれは大きいのを出そうとした。






まさにその時だった。











   ヌメェ〜〜〜・・・。






トイレの中から、手が出てきたのだろう、






お尻全体を、





生暖かい大きな手で包むように握られた。






「ぎゃぁぁぁぁああああぁっぁ!」




思わず、おれはトイレから飛び出した。







 そしてそこで気を失った・・・。



 暗闇の中、



 生暖かい手は、まだおれのお尻を包み込むように掴んでいた・・・。



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