雨の夜の出来事(5)

創作の怖い話 File.195



投稿者 でび一星人 様





沙織はゆっくりとした足取りで台所へ向かった。


 母さんの作った手料理は、まだちゃんとそこにあった。


沙織はイスに座り、「いただきます。」と手を合わせた。



「ハハハ・・・おいしいなぁ・・・。やっぱり、母さんの作った手料理は・・・おいしいなぁ・・・。



でも・・・なんでかな・・・。


こんなにおいしいのに・・・



涙が止まらないや・・・。」





 沙織は母の手料理を噛みしめる。


もう、この味を噛みしめられるのは、



これが最後だから・・・。




「母さん、ありがとう。」



沙織は、まだひょっこりと母さんが出てきそうなクローゼットに向かってお礼を言った。

沙織はゆっくりとした足取りで台所へ向かった。


 母さんの作った手料理は、まだちゃんとそこにあった。


沙織はイスに座り、「いただきます。」と手を合わせた。



「ハハハ・・・おいしいなぁ・・・。やっぱり、母さんの作った手料理は・・・おいしいなぁ・・・。



でも・・・なんでかな・・・。


こんなにおいしいのに・・・



涙が止まらないや・・・。」





 沙織は母の手料理を噛みしめる。


もう、この味を噛みしめられるのは、



これが最後だから・・・。




「母さん、ありがとう。」



沙織は、まだひょっこりと母さんが出てきそうなクローゼットに向かってお礼を言った。

「あいよ〜〜いいえどういたしまして〜〜〜。」



突如、クローゼットの扉が開いた。


そして中から、ヘルメットと、【ドッキリカメラ】の看板を持った母さんが出てきた。



「!!!!? か、母さん?」



「フフ。ほんのイタズラ心さ。 霊が料理なんて作れるワケ無いだろう!


アンタに見つからぬよう、ササっと隠れながらここまで移動したんだよ。」


母さんは沙織に笑いながら言い放った。




「ばかやろう!」


沙織はそう言って母さんを抱きしめた。


「ご、ごめんごめん!あの手紙、嘘だよ!ドッキリドッキリ! おどろかそうとおもって!」

母さんは沙織の慌てっぷりに、少し焦っている。


「そ、それより沙織、

明け方にさ、コッソリゴハン作ってる時に、クローゼットの中からこのヘルメットと看板が出てきたんだけど、

アンタ、こんなの使って何やってたんだい・・・?

このクラッカーも使って驚かそうと思ったけど、古すぎてシッケてて使えなかったよ。」



「・・・う、うん・・・。昔ちょっと使った事があってね・・・。もう忘れて・・・。


あ、そ、それより母さん、これからはずっと一緒に暮らせるんだよね??」



「フフ。当たり前じゃないかい。 私を追い出す気かい?」



沙織は激しく首を振った。


「これからも、宜しくね!母さん!」


「フフ。こちらこそ、沙織。」




 母と娘の美しい姿がそこにあった。

「それより母さん、母さんって・・・もう90歳超えてるよね・・・?


めっちゃ若くない?」



「あぁ。霊力修行してきたからね。その影響だよ。」


「・・・霊とか・・・もうそういう冗談やめてよ・・・。霊なんて居るワケ無いし・・・。」


「そうかいそうかい・・・。ま、アンタも若作りがんばりなよ。

そのウチ母さんに抜かれても知らないよ。」


(マジでその危険があるくらい母さん若いな・・・。)



沙織は、母さんと森光子にだけは決して負けないよう、努力しようと胸に誓った。













 ピンポーーーン





「・・・誰だろう?」



その時、家のチャイムが鳴った。



玄関口に母さんが向かおうとする。



沙織はそれを制して、


「あ、母さん、私の知り合いの確率の方が高いから、私が行くよ。」


と言って玄関に向かった。



ガチャリ




ドアを開けるとそこには・・・

神谷丼丸が居た。




「あ、おはようございます。丼丸さん。



・・・どうしたんですか?こんな朝早くに?」




丼丸さんの顔は真っ青だった。




「・・・あ、あぁ・・・あ、あのな・・・花ちゃん・・・。


昨日、傘貸した時な、ワシが、


【・・・あれ?せやけど・・・花子ママ、あんた、さっき店の反対方向に引き返して歩いて行かへんかったか?】


・・・って言うたの、覚えとるか?」



・・・そういえば、言ってたような気もする・・・。


「え・・ええ。言ってましたねぇ〜アハハ。」


沙織は一応受け答えした。



丼丸の表情は硬い。



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