カウントダウン(5)

創作の怖い話 File.118



投稿者 でび一星人 様





あと1・・・。

普段ならウッディーなんかの言う事は無視するんやが、

今は動く事が怖かった。

動くと、いつ【0】がウチの前に姿を現すかわからなかったから・・・。


 しばらくすると、スルスルと1本の縄が目の前に垂れ下がってきた。

そしてウッディーが、それをつたって消防士のように降りてきた。

「よいしょ・・っと。」

ウッディーは爽やかに笑い、キラリと白い歯を光らせた。

相変わらずキショイ。

 

 「んもう。八木さん。だから言ったじゃないかぁ。 僕が着いて行くってさぁ〜。」

「・・・いや・・・あの・・。」

「しーっ。喋らないでって言ったでしょ!いいから黙って!」

ウッディーはそう言うとウチの耳元に口を近付け、

(でないと、【0】が来ちゃうよ。)

と呟いた。

「・・え・・?」


 ウチは思わずウッディーの顔を見た。

ウッディーは優しく微笑んでいた。

やっぱりキショかった。


 その後、ウッディーはポケットからわら人形を取り出し、その場に置いた。

そしてウチを抱えあげたウッディーは、縄をつたい教室まで上って行った。


 ウチを抱えあげる腕は、意外と筋肉質でガッチリしていた。

 教室まで上り終えたウッディーはウチを席に座らせて、


「さぁ! 皆、授業続けるよ!」

と、爽やかに言った。

爽やかに授業を進めるウッディーを、

片肘をついて、その日はなんとなく見つめていた。

 喋り方も、仕草も、

やはりキショイんやが、

なんとなくウチはウッディーに格好良さを感じた。

年上の大人に対する感覚なんやろうか・・・。


 授業が終わり、教室を出て行こうとするウッディーに、さっきのわら人形の事を聞こうと思ったんやが、

ウッディーはとぼけるだけで、一切何も話してくれんかった。


 窓から、ウッディーがわら人形を置いた場所を見てみると、





わら人形の手足は全て引きちぎられたように裏庭に散らばっていた。

しばらくして、ウッディーが現れて、そのわら人形を拾い集めていた。



 一体あの【カウントダウン】は何やったのか。

 あのわら人形を置いた理由は何やったんか。


結局ウッディーは何も話してくれへんからわからず仕舞いやけど、

ウチの身にはそれ以上何も起これへんかった。


 ただ、


その後、とりあえずウッディーにお礼を言いに行った時に、


「今回八木さんに起こった事、他の人に話しちゃいけないよ。


もし話したら、




 その人にカウントダウンが起こっちゃうかもしれないからね。」


 と爽やかに言っていたのが印象的やった。



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