犬鳴峠(福岡県)

心霊スポットの怖い話 File.25



投稿者 福岡恐怖 様





大学4年の秋ごろだった。

私は大学の単位も取り、就職先も決まり、時間を持て余していたときのこと。

同じ様に時間を持て余していた友人から連絡が入った。

「どうせお前暇だろ? 来年F県を離れるんだし、みんなで心霊スポットでも体験しておこうぜ。

あの犬鳴峠 有名じゃん?他県にいっても絶対ネタになるよ」

行動派のAはいつもそんな調子で、じっとしている事が好きじゃない性格なのだ。

「犬鳴峠ってマジでやばいって聞いたけど・・・やめとけって」

どちらかというとじっとしていることが好きな私はAの電話にいつもこんな感じて振り回されていた。

「だーめ 俺もう決めたもんな 今日迎えに行くからな 

BとCもこういうの好きだからあいつらも連れて行く! 夜11時ごろに迎えに行くな」

そういうといつものようにAは電話を切った。

「はあー、あいつはいつもそうだ。」と思いつつもどこか犬鳴峠というところに興味があった。

何しろこの辺では一番有名なスポットであるし、数々の噂を聞いたことがある場所だ。

まあ、4人だったらいってもいいかな?

大学卒業前の思いで作りもかねて友達と騒ぐのもいいかな。と思いながら・・

Aはいつも俺たち3人を振り回しリーダー的な存在のやつだ。

自分の車で3人全員を迎えにいってくれる気の利き様も持ち合わせている。

Bもやはり就職が決まり、暇を持て余していた奴。こいつもノリがよく、Aとよく波長が合うやつだった。

Cは比較的私と似たところがあった。おとなしいタイプであまりアウトドアが好きではない派である。

ただ、、とてつもなく霊感が強いということを後になって知ることになった。

C自身もこの時、あまり自分が霊感体質ということに気づいていなかったようである。

この4人でF県の最も怖いといわれる心霊スポットに行くことになった。

この時、まさかこんな結果になるなんて、だれも想像していなかった。

4人を乗せた車は30分ぐらい走ると、その峠がある山道を上に上り始めた。

犬鳴峠というのは色々な噂や実際の事件があった場所だ。

ここで事件の事を言ってしまうと、事件に合われた方に申し訳ないので、控えておくことにする。

噂としては、昔、この峠が姥捨て山だったという話だ、飢饉の時代に、この山に子供や老婆を捨て、

若い人は飢えをしのいだとか・・

また、犬鳴村というものがかつて存在して、自分の村の血筋を守るために、

家族間結婚などを繰り返していたとか、

しかしその村は現在の犬鳴ダムの建設のためにダムの底にしずんだ。

その血筋のものは現在も外の世界を恨み、この山のどこかに潜んでいるという。

この峠はとにかく怖い話が数多くあるところだ、

話を調べるだけで行きたくなくなるのでここでの話は控えておく。

ひと気のない道路を走っていくと、犬鳴トンネルが見えてきた。

「ここか?」私はAに尋ねてみた。あまりに新しいトンネルなので、あまり恐怖を感じなかったからだ。

「ここじゃないんだよ。犬鳴トンネルは旧道があって、

このトンネルをくぐってすぐ左に旧道へ向かう道があるから、そこから旧道へのぼるんだよ」

「だよねー。さすがに拍子抜けしたかと思ったぜ。」Bも楽しそうにそう答えた。

ただCだけはじっと窓からの景色を見ようとせず、じっと携帯をいじっていた。

旧道へ上る道を上がっていく。

約5分くらいだろうか?上ると明らかに場の空気が変わってきた。

真っ暗闇で月の光のみがたよりの薄暗い状態で、湿気があり、肌寒い。

強い風が外の木々を揺らしているのが分かる。

そんなときBがある看板をみつけた。

「おいおいまじかよ、あれ見てみろよ!」

みんなその看板を一斉に見た。

そこには・・   こう書いてあった。

「この先、日本国憲法は通用しません。」

さすがにこれにはビビった。

「なんでこんな脅しがあるんだよ。」Aはそういったが、明らかにこの看板は最近建てられたものではない。

以前からずっと来るものに警告しているように見えた。

「とにかく行こうぜ。すぐそこなんだから、ヤバくなったら即逃げすればいいじゃん。」とA

「だな、早く行って犬鳴峠の経験値積もうぜ!」とB

そうして犬鳴トンネル旧道へ向かった。

犬鳴トンネル旧道へ到着。

約100m程のトンネルで、真っ暗闇にたたずむ光景は明らかに異常だった。

内側は手掘りのように、岩がぼこぼこしていて、風が通るたびに異様な音が響く。

辺りの景色といい、トンネルといい、気温といい、明らかに何かでてきてもおかしくない雰囲気だった。

トンネル入り口付近に車を留め、AとBはトンネルへ入っていく。

二人ずつで行くことにしたのだ。もし車をいたずらされては帰れないので交互に行くことにした。

私とCは車のライトの近くで、二人を見ている。

AとBはトンネルの奥の方へ歩いて行った。

「なんもねーよ」

「だなー」

そういう声がこっちに響き渡っている。

奥のほうまで行くとさすがに二人の姿が見えなくなった。

タイミングがよく恐怖を助長するように雨がふりだした。

小ぶりだったが、恐怖を演出するのに十分だった。

「まじで嫌なんだけど」と俺。

奥の方から二人が戻ってくるのが見えてきた。

そんなときCの携帯が鳴った。

「プルルルル・プルルルル」

電話に出る。

「もしもーし」

最初はAかBがこっちに電話をしているのかと思ったがそうではなかった。

なぜならこの峠は携帯は圏外のはずだ。明らかに様子がおかしい。

Cは何度も声をかけるが、向こうからは回答はかえって来ない。

というより。電話越しから雨が響く音が聞こえる。

「雨?」

響きわたるような雨の音は、雑音と一緒に携帯越しから聞こえてくる。

その時トンネルからAが

「次交代しようかー?」とAが大きな声で、こちらに向かって言ってきた。

-----その時-------

Cの顔色が変わった。

その途端CはA達に向かって、

「こっちに急いで来い!!連れて行かれるぞ!!!」

Cは大きな声を上げて車のドアを空けようとしている!!

何が起こったのかさっぱりわからなかったが、突然Bがトンネルの中で何かに気付いたのか

「うああぁ!!!」

腰が抜けたのか四つんばいの状態になりこちらへ逃げようとしている。

「どうしたんだよ!!おい!!」

AはBの状態が尋常じゃないこととCの叫び声で 明らかにそれは自分自身に向けられていると感じた。

その瞬間、AはBの肩をつかみ車へ逃げる!!

Cは車のエンジンをかけ、

運転席に座る、いつもおとなしいCなのにこの動きは明らかに何か起こっていると感じた。

でも俺には何もわからないのである。

風が強く吹く中、AとBはからがら車のところまできた。

「早く出せ!!」とBが言う。

Cは急いで車を出すが、細い道の為、一度Uターンする必要があるのだ。

バックし、前に出し、と数回行う必要がある狭い道だ。

その時、フロントガラスが

「ドン!!ドン!!」

と音がする!

「うああ!!」

Bが何かを見つめる。Aも何かに気付いたようだ。

「うああああああ!!!」

Cはとにかく車を出そうと試みる。

「ドン!!ドン!!」

「ゴキ・・・ゴキ!!」

と何かが折れたような音もしだした。

俺も、命の危険がある・・・そう感じる音だった。

その音が、なったとき、俺も見てしまった。

フロントガラスにへばりついている者を・・・・・

姿は人間の様だった・・・全身黒焦げの人・・・・

眼だけが異様に目立つ・・白く、黒い眼球が大きく俺たちを見つめる・・・

フロントガラスにへばりつき、ガラスをたたいている。

「ドン!!ドン!!」

そして、ときどき首をかしげるような動きをする・・・左右に・・・

しかも180°近く曲がっているような感じに見える・・・

「ゴキン!!ゴキン!!」

「うあああああああああ!!」

ブルルルルルル!!!

Cは涙を流しながら、全速力で峠を下りだした!!

だが、フロントガラスのそれはへばりついている・・・

次の瞬間、それは頭を打ちつけるようにフロントガラスをたたき出した。

「ドシュ!!ドシュ!!ドシュ!!ドシュ!!」

鈍い音とともにその目は確実に俺たちをみつめている・・

「助けてくれ!!!お願いだ!!」

フロントガラスにヒビが入り、そのヒビの小さな隙間からそいつはこっちを覗き込む。

前が見えなくなり峠の途中の脇の木にぶつかってしまった。

「ドオン!!」

かなりの衝撃だったが、Cはためらいもなくすぐさまバックした。

後ろもぶつかり、ボンネットが開くただとにかく逃げることに必至にCはそのまま下りだした!!!

C以外の全員が目をつぶって泣いていた。とにかく直視すると、おかしくなりどうだからだ

それでも勇敢にCは車を走らせた。

それから1分ぐらいだろうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・


「おいみんな、とにかく新トンネルまできたから・・・・」とCがいう。


・・・・・・・
眼を開けたくない。

一時すると、みんな目を開け、あたりを確認した。

「振り切ったのか・・・・」

全員が安堵の表情を浮かべた。

それから数分だろうか、自動販売機の光を見つけた。

助かったんだ・・・・・・・・・・・・・・・・

少し車の中で寝ることにした。

仮眠をとったあと、俺はCに最初何が起こっていたのか聞いてみた。

するとCは淡々と話し始めた・・・

「あの時、携帯が鳴っただろ?」

「ああ」

「あの電話越しに雨の音が聞こえたんだ。

最初はなにも感じなかったけど。

 だんだんと俺はある不安が湧いた。」

「不安?」

「そう、雨の音が俺たちのいる場所の音と似てたんだ。うん なんとなく何だけど明らかに似てた。」

「それで」

「そのあとAがトンネルの中で次交代しようって叫んだだろ?」

「ああ」

「その声が、携帯越しから聞こえたんだよ・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・

「だから俺はAとBの方を向いた。その時Aの後ろに人がいたんだ。」

・・・・・・・・・・・・・・・

「その時は14〜5才の女の人に見えた。ただ、携帯を持っているような姿をしていて、ぞっとしたんだ・・・

こいつがかけているのかって・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・

「しかもそのあと首を左右に曲げるんだよコキ・・・コキ・・・・って」

「・・・そ、それで・・・」

「明らかにおかしい曲がり方で曲がるんだ、顎が上に来るぐらいに・・・そいつがAの顔を覗き込んだんだ。

  だから叫んだ・・・」

「それを俺も見たんだ・・・」とB

「その車に出てきたやつと一緒なのかどうかはわからないけど明らかにあの場所はおかしいよ。

絶対行くべきじゃなかったんだ。」

思い出したかのように涙目になりながら語るCを見て、改めて今日の恐怖の出来事を反省した。

そうやってCが話している車内で・・・音が聞こえてきた。

「コキ・・・コキ・・・・コキ・・・・コキ・・・」

この音は全員が聞こえた・・・・

「き、聞こえるよな?」

「マジかよ!!」

「もうやだ!!」

4人が叫びだした途端、その音は消えた・・・・

「?」

「か、考えすぎか・・・・?」

そういったやり取りをしながら、早朝になった。 

4時頃だったろうか

とにかく疲れ切った俺たちはAが送ってくれた駅で、3人降りることにした。

さすがにAも送るのも疲れているだろうと考えたんだ。

「いいの?」とA

「疲れているだろ?直ぐ帰って寝た方がいい。忘れた方がいいよ今日の事は。」

俺たちはまだ開いていない駅で降り、明日お祓いをお寺ですることにし、Aと別れることにした。

「じゃあ明日・・・・」

「ああ・・」

「ああ・・」

「気を付けて・・・」

そうしてAは3人を降ろして駅から走りだした。

その時。

Cが気づいたんだ。

「ボンネットが閉まっている?」

確か旧トンネルで奴が出てきてバックしたときボンネットが壊れたはず。

開いたままのはずだった・・・・・

その瞬間・

Aの立ち去る車のボンネットが少し開いて、

あの黒い者の大きな目がこちらを覗いていた・・・・・・・・・・・・・・・!!!


「うあああああああああ!!」

あの最後の記憶はあまりない・・・・・・

3人ともだ・・・・・・・・・・・・・・

Aはどこに行ってしまったのだろう?

現在もあれから行方不明なんだ。



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