ネトゲの住人 |
人のほうが幽霊よりも怖い話 File.14 |
ネットより転載 |
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一年前の話。 友人に誘われて某MMO(インターネットゲーム)を始めた。 それまでネトゲはおろかチャットも未経験だった私は、たまたま大規模ギルドに拾ってもらい、 そこの古参プレイヤー数人にプレイやチャットの手ほどきを受けた。 私のキャラは皆の協力により順調に成長し、いつも楽しくプレイすることができた。 皆いい人で、初心者だったというのもあってか私はギルド内でかなり可愛いがられていたと思う。 その古参の中にAがいた。 Aはプレイ歴が長くレベルもギルド内最高クラスで、 普通じゃお目にかかれないレア装備をいくつも所持しており、皆から一目置かれる存在だった。 Aは私のことをひときわ気にかけていてくれたようで、しょっちゅうレベル上げを手伝ってくれたり、 もう使わなくなった装備を気前よくくれたりした。 所属していたギルドは皆の仲がよくリアル知り合い同士という人もたくさんいて、 ゲームしながらスカイプをつないで会話したり、メールアドレスの交換も頻繁に行われていた。 メンバーのほとんどが関東・関西圏に集中しており、 北海道の私は一度も参加したことがなかったが、オフ会なんかもちょくちょく開催されていた。 ネット内コミュニケーションに免疫がまったくなかった私は、 Aを含む仲良の良いメンバー数人とリアルの素性(性別、仕事等)やメールアドレスを教えあっていたが、 今思えば、携帯番号や詳しい住所まで教えなくて本当によかったと思う。 Aは関西に住む大学生だった。 その頃になるとゲームにログインしている間中、常にAが絡むようになってきた。 ギルドハントといってギルドの仲間数人で狩りをするときはもちろん、 たまにソロで遊んでいる時もAからちょくちょく耳打ち(一対一のチャット)がくるようになった。 「○○ハケーン(´・ω・`)」 「今何してるの?1人ならいってもいい? (´・ω・`)」 「もしかして誰かと一緒?(´・ω・`)」 Aからの耳打ちには常に (´・ω・`) の顔文字がついていた。 最初のほうこそ律儀に返していたが、 ある時別の友達とかなり忙しい狩場に来ていて耳打ちに返信する暇がなく、 悪いけどあとで返そうと思い返信しなかった。 すると1分もしない間に、耳打ちではなく普通チャット(その画面内にいる誰もが見えるチャット)で 「(´・ω・`)」 かなり遠くの狩場にいたはずのAがすぐ側に来ていた。 仕方なく狩りを中断して、耳打ちを返せなかったことを謝ると、 「いいよ、○○は僕といるよりも他の人といるほうが楽しいんだよね(´・ω・`)」 と言いログアウト。 私唖然、一緒にいた友達ドン引き。 この時から、私に対するAの普通じゃない執着を感じるようになった。 それからというものログインする度、すぐにAからの耳打ちがきた。 「(´・ω・`)」 ゲームには友達登録という機能があり、友達リストに登録している人がログインするとリストの名前が光り、 検索をかければどのマップにいるかがすぐわかるようになっている。 Aはこの機能を使って私のログイン状況と、どこにいるかを常に監視するようになった。 私はAの行動が怖くなり、しばらくゲームにログインすること自体控えるようになった。 すると今度は毎日のように携帯にメールが来た。 「どうして最近INしないの(´・ω・`)」 「○○がいないとさみしいよ(´・ω・`)」 「もしかして僕のこと嫌いになったの?僕はこんなに好きなのに(´・ω・`)」 最初の頃こそのらりくらりと交わしていたが、私にも私生活がある。 Aは大学生、私は社会人。 勤務中だろうが休憩中だろうが真夜中だろうが、 時間を問わずに受信されるメールにほとほと嫌気がさし、ある日意を決してAにこんなメールを送った。 「私はゲームしている間はみんなと楽しく遊びたいし、 Aだけに特別な感情は抱いてない。真夜中のメールも迷惑になるから控えてほしい」 といった内容だった。 するとAから「(´・ω・`)」 お決まりの返信だった。 もううんざりだった。 それ以来Aとメールのやりとりはなくなり、自然とゲームもほとんどログインしなくなった。 ログインしなくなって3週間ほど経った頃。 ギルド内で仲良くしていた、他の人からメールがきた。 「最近見ないけど忙しいのかな?みんな寂しがってるからたまにはINしてね^^ そうそう、Aも大学辞めたとかなんとかで忙しいみたいで全然いないんだよねー」 Aが大学を辞めたとの事。 嫌な予感がしたが、その友達には暇になったらログインするね、とだけ返信しすぐにその事は忘れた。 私は当時某資格系スクール講師の仕事をしており、主に無料体験スクールなどのイベントを担当していた。 無料体験を行った日は、最後に受講者にアンケートをお願いしている。 授業の感想や講師の印象、氏名、住所等をWEB上で入力する簡単なアンケートだ。 アンケートを回収し、結果をデータにまとめるのも仕事の一環であり、 その日もいつものようにアンケート結果に目を通していた。 そして・・スクロールの手がとまり、目がディスプレイに釘付けになった。 【授業の感想】 (´・ω・`) 【講師の印象】 (´・ω・`) 【氏名】 Aのキャラ名 【住所】 関西 全身の毛が逆立った。 受講者の中にAがいたのだ。 確かにAがまだ普通だった(だと思っていた?)頃、なんの気なしに北海道の一番大きな都市の、 駅前にあるPC系資格学校で働いてるという事を教えたことがある。 恐ろしくなって仕事を早々と切り上げた後、 自宅へは帰らずに高速を使って200km離れている実家へ非難した。 翌日が休みで助かった。 仲の良かったギルドメンバー数人には事情を話し、ゲームを引退することを告げた。 Aの近況を知るメンバーからの情報によると、Aは北海道で仕事を探している、とのこと。 その後すぐに携帯を変え、結婚の為退職し北海道を離れた。 当時迂闊に素性を明らかにしていた私にも非があるとはいえ、 顔も知らないゲームの中だけの付き合いでそこまで行動できる人間がいるというのが本当に恐ろしかった。 文章にするとあまり怖くないかもしれないが、あのアンケートを発見した時の衝撃は今でも忘れられない。 そして、これ (´・ω・`) が本当に苦手になった。 もう二度とネトゲはやらない。 ★→この怖い話を評価する |
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