霊道

摩訶不思議な怖い話 File.170



 投稿者 TOL 様





これは、私がまだ中学生だった頃のお話です。

その日の夕方、私は友人Tの家の居間で、

Tと友人Mの三人でコックリさんをしていました。

Tの家は平屋の借家で、玄関のドアが引き戸になっており、開けっ放しにされていました。

私たちのいる居間は、玄関から入り、靴を脱いで上がってすぐ左にあり、

私は、ちょうど開けっ放しの玄関が見える位置に座っていました。

コックリさんを続けていると、

玄関から廊下の奥に向かって通り過ぎる人影が視界に入りました。

肌着姿のおじいさんのようでした。

Tはそれに気付いていない様子だったので教えてあげようと思い、

私「おじいちゃんきたよ。」

そう言うとTの表情が急にこわばったのが分かりました。

T「やめてよ。」

私「ん?」

T「うち、おじいちゃんなんていないよ・・・。」

私「え・・・。」

そして次にTが言った一言が、私の背筋を凍らせました。

T「Y(私)のお母さんが家に来た時も、同じようなこと言ってた・・・。」

怖くなった私たちは、すぐにコックリさんを止めました。もちろん儀式通りに。

確かにその時、家の中には私とTとMの三人しかいませんでした。

私が見たあのおじいさんらしき人影は何だったのでしょうか?

ここからは、あくまでも私の推測になります。

Tの家は某遊園地近くのK市にあり、家の前は広場のようになっていて、その奥には森がありました。

そしてその森にはある噂があったのです。

昔、そこが罪人の処刑をする首狩場だったと。

もしかすると、Tの家は霊の通り道になっていたのかも知れません。

そして当時、Tは父親の家庭内暴力に怯える日々を過ごしていました。

今思えば、そのことも何か関係しているような気がしてなりません。

余談ですが、この後TとMの二人は怪我をしました。

偶然なのかどうなのかは分かりませんが、

二人ともコックリさんをしている時に十円玉を押さえていた指を。



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