霊視できる友達 |
摩訶不思議な怖い話 File.155 |
投稿者 たむたむ 様 |
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この話は6年前… "you've got mail" "you've got mail" "you've got mail" 俺はポケットから携帯を取り出し何気にメールを開いた。 『…ん?満月か…おい、カケル。また霊視してくれってさ。』 頬杖ついて眠そうにしているカケルにケータイを渡した。 カケル:『またぁ〜?めんどくせぇな。どうせ何も無いんだから時間の無駄だって…』 眠そうにケータイを見つめているカケルの目つきが変わったのが分かった。 カケル:『…おい、今からこいつの家行くぞ。危ない。』 俺:『マジか?』 カケル:『久々ヤバいの見た。とりあえず今日のボーリングは中止だな。』 俺達は他のメンバーとのボーリング大会を中止し、写メを送ってきた友達の家へ急行することになった…が… カケルとは3歳からの幼なじみ。学年は俺より一つ下になるが、敬語や気を遣うことのない仲だ。 ただ、中学から俺がグレ始めたせいで比較的大人しいカケルとは徐々に疎遠になってしまっていた。 だから、中学以降の彼の生活環境を全く知らない。 俺が22歳の時にたまたま夜の街でカケルと再会を果たし2人でショットバーへ出掛けたのだが… 俺は此処で彼の不思議な能力を目にすることになる。 カウンターに2人並んで昔の話や何気ない会話をしながら1時間が過ぎる頃、 カケルは急に俺の背中を[ポンポン]と二回叩いた。 俺:『ごめん、ホコリか何か付いてた?』 カケル:『いや、何でもないよ。つか、たむたむは最近悩みとか何かない?』 俺:『う〜ん…( ;´Д`)ここでこんな話をするのも何か変なんだけど 最近ストーカーみたいなことされててさ…会社の子なんやけど…』 そう。おれはこの時期会社の女の子からストーカー被害にあっていた。 携帯に何回も電話がかかってきたり、 どこで手に入れたのか俺の彼女(現在の嫁さん)の携帯番号に無言電話をしたり、 俺の実家に押しかけて母親に「新しい彼女です」と言ったり…。 上司に相談していたのだが、相手は会長の娘ということで誰も力になってくれなかったのだ。 カケルは俺の話を聞きながらボールペンで箇条書きで書き連ねたコースターを俺に見せた。 そこにはこう書いてあった。 ・黒髪で長い ・二重だがキリッとした目つきで細く見える ・口の右下にホクロがある ・身長は150センチくらい それはまぎれもなくストーカーの彼女の特徴とピシャリと当てはまっていた。 ゾクッ((((;゚Д゚))))))) カケル:『生き霊が憑いてた。だから払っといた。』 俺:『全部当てはまるんですが…どゆこと??お化けとか見えちゃうタイプ?』 カケル:『まぁな。別に信じろとは言わん。正直俺も半信半疑なんだよ。 俺が見えてるものが正しいのかどうかたまに判別がつかなくなる。』 俺はストーカーそっちのけでカケルの話に聞き入った。カケルの話だとこうだ。 カケルが最初に幽霊を見たのは高1の時でそれはカケルのおばあちゃんだったらしい。 ある日、おばあちゃんは地区の仲間と他県へ旅行に出かけていた。 翌日の朝、カケルが洗面台で顔を洗い終わり鏡を見ると 後ろに旅行へ出掛けたはずのおばあちゃんが立っていたそうだ。 カケルはえ!?っと思いながら後ろを振り返るがそこには姿がなかった。 30分後、旅行先からおばあちゃんが亡くなったと電話があったそうだ。 この日を境に、カケルは徐々に幽霊が見えるようになり今では常に見える状態になってしまったらしい。 話が一通り終わると、カケルが俺にこう言った。 カケル:『霊視って分かる?信じなくても良いから、 今からたむたむの知り合いで生年月日が分かる奴をフルネームで三人書いてみて。』 俺は大学時代に特に仲の良かった三人の名前と生年月日を書いてカケルに渡した。 でも正直俺はまだ信じてなかった。 ストーカーの件も偶然だろうと思っていたが…信じざるを得ないことが起きた。 まず一人目、Y君。 カケル:『この人、背高いね。腰に影が見えるけど腰悪いんじゃない?』 ご、ご名答…。Y君は高校時代バスケの国体選手で身長は189センチある。 しかし、ヘルニアの悪化により引退していた。 二人目、T君。特徴はやはり一致…。そして カケル:『…この人、赤ちゃんが背後に見えるけど堕ろしたんじゃない? 良くない感じがするんだよね。しかも、こいつは双子やな。』 ご…ご名答… 大学一年目にコンパで知り合った女の子と一夜を共にした際、それが原因で妊娠し、堕ろしたのだ。 そして三人目…。K君。 K君の番になると、カケルはずっと考え込みながら首をひねる。 しばらくするとカケルが俺を軽く睨み『お前、テキトーに書いたな?全く見えんぞ。』 ウヒャ〜!ガクガク… カケルの言う通り俺はカマをかけようと思い、テキトーに名前と生年月日を書いたのだった。 さすがにここまで来れば信じるしかない。 俺:『お前、マジで怖いんだけど。何でここまで分かるんだよ?!』 カケル:『だから、俺が聞きたいんだよ。何で俺だけしか見えないのか。 そして、たむたむが言ったように俺の事を変な奴として見ただろ?』 俺:『うん(-。-;悪いけど。』 カケル:『いや、別にそれが普通だろ。俺がたむたむでも同じこと思うはずだし。 それに俺が言った事は本気にしなくて良いからな?俺がそれ見て見えたものを話しただけだからさ。 正解かどうかなんてどうでも良いし。』 俺:『どうでも良いという言葉では処理出来んくらい当たってるやん。 お前はくだらん嘘は絶対つかない奴だと思ってるよ。』 カケル:『ありがとうな。つか、これやるとメッチャ疲れんだよな。疲れたからもう帰ろうぜ。』 店を出て、二人で繁華街を歩いていると前を見据えながら俺に呟いた。 『幽霊って廃墟とか、暗い山奥に居るイメージがあるだろ?実際は違うんだよ。明るい所に集まるんだぜ。 今この場所に居る人達と同じくらいの霊が居るんだけど… やっぱみんな元は人間なんだな。楽しい場所に来るんだよ。』 俺はこの言葉が強く印象に残っている。 しばらくして俺は周りの友達にこの話をした。 いや、してしまった…。すると噂を聞きつけた同級生や果ては その母親までも霊視してくれと連絡が来るようになってしまった 基本的に霊感のない俺達は心霊写真を見つけると、それを悪霊だと決めつけてしまう。 しかし、カケル曰く 悪霊と出会う確率なんて連続殺人犯と鉢合わせになるくらい低いものらしい。 カケルは一度だけ呪怨級のヤバい霊に遭遇したらしいがこの話はまたリクエストがあればということで。 さて、この話の冒頭で書いた満月の話ですが俺に写メールを送るまでの経緯を簡単に説明します。 俺にメールを送った相手はダイスケと言う高校の同級生。 この時期、彼は彼女とのイザコザで非常に落ち込んでいた。 そんな彼を励まそうとダイスケと同じ中学出身のショウタ君(俺と面識は一度もない)が励ましメールと共に その時に撮った綺麗な満月を送った。 メールを受け取ったダイスケはその写メをぼんやり眺めていると奇妙なものを発見した。 満月の右下にオーブ(光の玉)のような物が写っていたのだ。ただのカメラの反射だろうと思いながらも、 カケルの噂を聞いていたダイスケは俺に鑑定してくれないか?と軽い気持ちで写メを送ったのだった…。 俺:『やっぱあれはオーブだったのか。そんなあのオーブがヤバいの??』 カケル:『んなもんただのカメラの反射だ!問題なのはあの満月だ!』 どゆこと?? ダイスケの家へ車で向かいながらカケルは俺に静かに話した。 カケル:『いつも言うけど今から言う話はあくまで俺が感じた事だから信用はしなくて良い。 あの満月な、瞳なんだよ。女の人の。 んで、その中に凄い形相した男と手前に泣きじゃくってる男の子が写ってんだ。 多分、男の子はこの女性の弟で今まさに男から殺されようとしている瞬間の映像なんだ。 そんな一番辛い瞬間の映像を撮ってしまってる。本当に一瞬のタイミングで撮れたんだと思う。 おそらく、今日がその事件に関係ある日なんだろうな。この女性も弟の後に殺されてる。 男は自殺だな。だからこの満月は念みたいなのが半端ない。 下手すりゃ憑依されるかもしれん。』 運転していると、真正面に満月が出てきたが俺はビビって見ることが出来なかった。 そして、ダイスケの家に着いた。 ダイスケの家の前に着いた俺は電話をかけた。 俺:『もしもし、ダイスケか?たむたむだけど今ダイスケの家の前に居るんだ。出てきてくれんかな?』 ダイスケ:『マジで?ごめん!今友達の家に遊び来ててさ。どした?』 俺:『さっき送ってきた写メの事でカケルが直接話したいって言うんだけど。』 ダイスケ:『うそ!?今その写メを撮った奴の家に居るんだけど…』 俺:『ダイスケじゃなかったのか。分かった。今からそいつん家に向かうから住所教えてくれ。』 住所を聞き出しショウタ君の自宅へ向かった。 ここから10分くらいの距離だ。急がなくては…。『…めっちゃ嫌な予感がする。』 助手席でカケルが呟いた。 電話を切って5分くらい経った頃、再びダイスケから電話がかかってきた。 明らかに声の様子がおかしい。 ダイスケ:『おい!たむたむっ!ショウタが何か変なんだ! 急に下向いたまま喋らなくなったんだよ!声かけても反応無いし!!マジどういうことだよ!?』 俺:『落ち着けって!今向かってるから!とりあえず落ち着け!』 ダイスケ:『ああ。早く来てくれ!』 電話のやり取りを聞いていたカケルは写メを見ながら カケル:『遅かったか…。あの瞳の女が憑依してるな。』 細い路地を抜けたところでショウタ君の家が見えてきた。すると、玄関の前にダイスケが居た。 ダイスケ:『おい!早く来てくれよ!怖くてたまんねーよ!』 俺:『ショウタ君の親は?』 ダイスケ:『親?あぁ、ショウタの親は医者と看護師だから今居ねぇんだよ。それより早く!』 そうだ。急がなくては!カケルに目をやると、カケルは家の二階をジッと見つめている。 俺:『カケル!どうした!?』 カケル:『二階のあの部屋に居るな。ちょっと確かめたいことあるから、お前らだけ先に行っててくれ。』 俺:『何でだよ!お前が居なきゃ始まらんだろ!!』 カケル:『…そうだな。今から家入る前に忠告しとく。 すでにショウタ君の家の周りには憑依したせいか、他の霊達も集まってきてる。 こっから先はたむたむやダイスケの身にも何か起こるか分からない。強い心を持っててくれ。絶対ビビるな。』 カケルの真剣な口調にすでにビビりそうだったが、 ここまで来たからには最後まで見届けたいという気持ちというか…不謹慎かもしれないが好奇心が少なからずあった。 カケルは初めて来たはずなのに、ショウタ君の居る部屋を一発で当てた。 部屋に入ると、ショウタ君がベッドに俯いた状態で座っていた。俺達が来た事も気付いてないようだった。 カケルは手でお前達は下がってろと促し、ショウタ君の元へ歩み寄る。 すると、ショウタ君が急に泣き出した。そしてこんなことを言い出した。 『…弟が…弟が…。何で…弟が…。あんな男に…』 この時、ダイスケが俺の顔を見ながら震えた声で『あいつ一人っ子なんだけど…。』 ゾクッ… 全身に寒気が走った。そして霊感の全く無い俺もショウタ君の部屋に漂う奇妙な雰囲気に気付いた。 何人もの人達から見つめられている感覚。 カーテンがゆらゆらと揺れているのだが、部屋の窓は全て閉まっている。 怖い。怖過ぎる。へたり込みそうになった俺にカケルが 『気をしっかり持て!お前も憑かれるぞ!』 その言葉で我に返った俺は顔を叩いて気合を入れた。アントニオ猪木が居てくれたらどんだけ心強かっただろうか。 しばらくカケルはショウタ君の背中に手を当てたまま動かなかった。 そしてカケルの目から涙が零れ、直後ボソボソと呪文のような言葉を唱え出す。 するとショウタ君はピタリと泣き止んだ。 カケルはバッグから線香を取り出し火をつけ、彼の背中をなぞるように煙を当てた。 呪文が唱え終わると、カケルはお腹付近で両手を合わせフーッと深く深呼吸した。 ショウタ君は眠っているのかベッドの上で横になった。 カケル:『もう、大丈夫。』 ポンポンと彼の背中を叩いた。 ダイスケと俺は緊張の糸が切れてその場に座り込んだ。 カーテンの揺れもいつのまにかなくなっている。 カケルもかなり疲れているのかコメカミ辺りを手で押さえながら口を開いた。 カケル:『疲れたぁ。眠い。でも、あの女は悪霊じゃなかったから良かった。 でも殺される映像が頭に流れたんだけどあれは本当に辛かっただろうな。俺もあの光景はもう見たくない。 全部話を聞いたら女から出て行ってくれたよ。』 俺:『成仏したってこと?』 カケル:『成仏?俺は成仏ってのが良くわからん。 成仏して行くべき所が本当にあるなら何でこんなにたくさんの霊が居るんだ?って思う。 だからテレビに出る霊能者が相談者に成仏しました。 って言うけどどういう意味なのか聞きたくなる。 俺は素人だから正しい答えが何なのか分からないだけなのかも知れないけど。』 俺:『そっか。じゃあ女の人は今もどこかに…。』 カケル:『多分な。でも、気配を全く感じないからこの辺りには居ない。それから、写メは消した方が良い。』 俺とダイスケは画像を消去し、ショウタ君を起こした。 ショウタ君:『…ん?え?!誰ですか?』 俺はショウタ君に事細かにさっきまでの話をした。 ショウタ君:『そうだったのか…。だから男の子が目の前に居たのか。』 カケルは写メを消すように促した。 ショウタ君はケータイを開き画像を消そうとしたのだが… 『うわっ!!!!…何だこれ…』 そこには満月よりもハッキリと男の子に襲いかかろうとしている男の顔が写っていた。 ★→この怖い話を評価する |
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