白い子供の顔

摩訶不思議な怖い話 File.144



ネットより転載





俺は4歳になるまで、夜はバアちゃん家に預けられていた。

夜はバアちゃんと並んで寝るんだけど、その部屋に死んだジイちゃんの仏壇があったんだ。

で、夜中に目が覚めたりすると、たいてい金縛りになる。

その時、必ず仏壇の戸が少し開いてて、中から誰かがこっちを見てるんだ。

扉に手をかけて、白い顔を半分覗かせて。

最初は、ジイちゃんだと思っていた。

バアちゃんが仏壇に向かって「じいさん…」って呼び掛けるのを見てたから。

だけど、その顔、良く見ると子供みたいなんだ。

こっちを見ながら、うっすらと笑っている白い子供の顔。

そんなものを見ながら、俺は不思議とも思わずに4歳までその部屋で寝ていたんだ。

バアちゃんは俺が11歳の頃に死んだ。

良く覚えていないけれど、何かの病気だった。

半年ぐらい入院していて、見舞いに行くと割と元気に見えたのに、

急に具合が悪くなったかと思うと、それから2日くらいで死んでしまった。

それでも、自分の死期はうすうす感じ取っていたみたいで、死ぬ間際には

「ようやっと、じいさんのところへ逝けるねェ…」

みたいなことを言って、周囲を困惑させていた。

バアちゃんは、具合が悪くなったと同時に昏睡状態に陥った。

親族は交代で病室に詰めていたんだけど、最後を看取ったのは俺の母親だった。

そのときの様子が、ちょっと変だったらしい。

母親は、病室のベッドの横で本を読んでいたんだけど、

何となく呼ばれたような気がして、バアちゃんの方を見たそうだ。

すると、昏睡していたはずのバアちゃんが目を開けていた。

瞬きもせず、じっと天井の方を見つめている。

母親が声を掛けようとした時、バアちゃんの口が動いた。

「お前、じいさんを何処へやった」

実の子である母親が、今まで聞いた事もないような、低くドスの利いた声。

呆気にとられていた母親が我に帰ると、バアちゃんはもう目を閉じていて、

それから半時間程であの世へ旅立ったそうだ。

バアちゃんは、あの白い顔をずっと見ていたのかも知れない。

今思えば、そんな気がする。




★→この怖い話を評価する

作業用ヘッドライト


[怖い話]


摩訶不思議な怖い話3