お前だけは帰さんよ

摩訶不思議な怖い話 File.134



ネットより転載





私の地元A県の某市には、地元の人なら誰でも知っている有名な心霊スポットがあります。

そこは、一軒の空き家(と言うより廃墟)で、噂によれば昔一家惨殺事件があったとかなんとか…。

その日、暇を持て余していた私と友達(以後B、C)はノリでその心霊スポットへ行く事にしました。

でも流石に夜中行くのは怖かったので(みんなチキンなので)、まだ日のある夕方頃行く事にしました。

そこへ着くと、嫌〜な雰囲気ムンムンで霊感のない私達でも気分が悪くなる感じでした。

家は木造で、外壁何かはボロボロ。

屋根のトタンは赤茶色く錆びていて、家の中も床は抜けてるわ、物が散乱してるわ荒れ放題。

「気持ち悪いわぁ〜」

皆ビビりながら、家の中を探険しました。

台所、トイレ、風呂、荒れていても生活用品何かはまだ残っていて、そこがまた不気味でした。

「なぁ、そろそろ出よ?」

一通り探険して、そろそろ帰ろうとした時、さっきまで後に付いて来ていたCが居ないことに気付きました。

B「さっきまでソコいたよなぁ? 何処行ったアイツ」

私「てか、Cの奴ココ入ってから一言も話してなくね?」

B「マジチキンだからな。ビビって先出たんじゃね?」

私とBは外に出ましたが、外にもCの姿はありませんでした。

何だか胸騒ぎがして、二人で慌てて家の中に戻って、大声でCを呼びました。

が…返事は無し。

そこで、BがCの携帯に電話をしました。

ピロロロ〜 ピロロロ〜

と着信音が小さく聞えてきます。

私とBが音のする方へ歩いて行くと、さっき探険した時には入らなかった角部屋から音がするんです。

二人で恐る恐る、部屋の開いた襖から様子を伺うと、そこにCが体育座りしていました。

私「おいC! 何やってんだよ」

Cはこちらに背を向たまま動きません。

B「ふざけんなよ。帰るぞC!!」

Cは黙ったまま。

私が痺れを切らしてCに近付いてCの腕を掴もうとした時でした。

『…けて』

Cが小さい声で何か言いました。

私「何って言った?」

『助けて…助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて』

B「おいっ!! C!!!!」

私とBとでCの肩を揺するとCはボロボロと泣いてガタガタと震えていました。

急いで、Cを連れて家を出ました。

帰りの車の中でCを落着かせて、何があったのか尋ねました。

【以下Cの話し】

最初家の中見て回ってる時、俺見ちゃったんだよ。

ちょうど風呂場見終わった後、振り返ったらそこからこっち見てた。

お前等に言ったらテンパると思って、黙って何もないふりしてたんだけどついてくるんだよ、そいつ。

しかも、嘘みたいだけど四つん這いで天井に蜘蛛みたいにぶら下がって来んだ。

それで、お前が「そろそろ出るか」って言った時、

そいつが俺のすぐ後ろにストッて降りて来て耳元で言ったんだ。

『お前だけは帰さんよ』って。

気付いたら、あの部屋に座ってた。

天井にはそいつがまたぶら下がってて、ニヤニヤしながら何か言ってた。

んでお前等が来てくれた。

私達はCの話を聞いて震えが止まりませんでした。

だってCを助けに行った時、天井にはそいつがいたって事だから…。

B「そいつ最後何て言ってた?」

C「『やっと来たんや。逃さんよ』って」

B「そいつどんな姿だった?」

C「黒いボサボサ頭で土色の肌で白い着物着た男」

私「B何でそんな事聞くん?やめようや。何か怖いじゃん」

B「………後ろ。車の後ろにさっきまでそれがひっついとった」

車を運転していたBはバックミラーでそいつを見たらしいです。

それから、私達は無言のまま帰りました。

後日何事もなく皆過ごしていますが、Cだけはトラウマで天井が怖いとビビって生活しています。

もう二度とあんな場所へは行きたくありません。

皆さんも遊び半分で行かないで下さい。




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