長い夢
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意味がわかると怖い話 File.106 |
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長い夢を見ていた。
目が覚めると、そこには白い天井。白い壁。カーテン。規則的に鳴り響く機械音。 眩しい。視界が白く霞む。 「・・!!目を覚ましたのね!」 『・・こ・・ごどごで・・ずか・・』 変な感じに声が掠れる。自分の声じゃないみたいだ。 「・・落ち着いて、聞いてね。ここは病院よ。あなたは交通事故に遭って、意識不明だったの」 『おれ・・はどうな・・ています・・か』 「・・・。すぐ、先生を呼ぶから。待ってて」 『は・・い・・』 ここの看護師だろうか。声の調子からすると俺より年配だろう。四十代半ばといったところか。 どことなく見覚えがある。きっと、眠っている間俺の世話をしてくれていたのだろう。 妻は?娘はどうなった?記憶が欠如している。 俺が覚えているのは、娘が小学校の卒業式で見せた笑顔。妻が涙ぐんで微笑んでいた顔。 それから・・ ・・・。頭が回らない。考えるのは後だ。少し休もう。 俺は体が欲するままに、再び意識を手放した。 一時間ほど眠っただろうか。目を覚ますと、傍らに先ほどの年配女性。 その隣に見覚えのある少女が座っていた。 相変わらず視界が白くぼやけてよく見えないものの、俺にはすぐに分かった。 『ご・・め゛・・んな゛』 精一杯搾り出してもしわがれた声しか出なかったが、 彼女はそれでも、俺の手をぎゅっと握りしめてくれた。 多感な時期に父親が意識不明だったのだ。辛い思いをさせたのだろう。寂しげな表情をしている。 背が伸びて、顔立ちも何だか変わったようだ。 俺は、また現実に戻ってこれたことを神様に感謝した。 その時、奥の入口から俺と同じようにしわがれた声が響いた。 「お帰りなさい、あなた!」 ああ、神様 ★→この怖い話を評価する |
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[怖い話] [意味がわかると怖い話3] |