助けてください |
本当にあった怖い話 File.61 |
投稿者 zu 様 |
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ある8月の蒸し暑い日、自転車に乗る母は夜の10時頃家路に急いでいました。 大きい大会が近いせいもあり、部活の練習が長引いてしまったのです。 母は疲れてくたくただしおなかも空いたということで、近道をしました。 その道というのは、街灯がほとんどなく、夜になると人通りがまったくなくなってしまうそうです。 母も内心通りたくはなかったそうですが、早く帰りたい一心でその道をたった1人で自転車で走っていたそうです。 しばらく走っていると、前の方にうずくまっている女性を見たそうです。 母は"うわ-、もしかして幽霊!?"と思ったそうですが、 病気で倒れこんでいる人だったら大変だということで、自転車を停め、声をかけたそうです。 母:「あの-……。 どこか体の具合が悪いのでしょうか?」 そう声をかけたところ、その女性は顔を上げました。 その女性はぼろぼろに焦げた服を着ていて、顔半分がぐちゃぐちゃにつぶれていたそうです。 びっくりして声も出せない母に、その女性は 「助けてください…助けてください……。」とすがってきました。 母は怖くなり、その女性を突き飛ばして逃げ帰ったそうです。 母の体験自体はここまでです。 あとで母が知ったことですが、母の住んでいたところは太平洋戦争のときにひどい空襲を受けたそうです。 母が女性を見かけたあたりにはある一家が暮らしており、 家が爆弾の直撃にあったときに娘さんだけが家から逃げることができたそうです。 その娘さんは家の中に取り残された家族を助けようと、 「助けてください!助けてください!!」と人を探していたそうです。 そうしている間に、彼女は火に囲まれ、その中で焼け死んでしまったのです。 もしかしたら彼女はまだ助けを求めてさまよっているのだろうか。 母はその女性のことを思い、涙を流したそうです。 ★→この怖い話を評価する |
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