ハイヒールの女

本当にあった怖い話 File.140



投稿者 まさ 様





あれはまだ、肌寒い頃だったかな

あたしその日の仕事が夜勤だったんです

あっ!

仕事は老人ホームです

その変な現象がおきたのは夜の7時前

後輩とおばあちゃんを寝かし、フロアーに戻ったときでした

『ありがとう』

聞き慣れない声がはっきりと耳元で聞こえた

えっ?

ねぇ、今さ誰かありがとうって言わなかった?

って後輩に問い掛けてみた

言ってませんが、電気消すよっていいました?

もちろん私はそんなこと喋っていません

後輩と二人で顔を見合わせ

えっ?

って感じになっていました

その話をおばちゃんにしたところ

私は下半身が走っているのを見たよ

って笑って言うのです

ちょっと今日の夜勤は怖いなぁと思いながら、遅番二人が帰ってしまったあとに思いました

耳元ではざわざわと誰かが話をしているのが聞こえる

おばちゃんはみんな寝ていてテレビもついていません

怖いので気にしないようにしていたんですが

23時頃

物凄い大声で

『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ』

という叫び声が聞こえました

自分の受け持ちのおばちゃんたちの声ではなく、この世の者とは思えない声でした

声が聞こえたほうの窓を開け、外を眺めていたときでした

『コツ…コツ…コツ…コツ…コツ…』

ハイヒールで歩く音がきこえました。

私は怖くなり上の階の友達のところへ行き、誰か叫ばなかった?と聞いたのですが

誰も叫んでいないと言うのです。

物凄い不安を抱きながら、持ち場に戻るときにふと思い出した

ハイヒールの音の正体のことを

上司から聞いた話になってしまうんですが

認知症じゃない、クリアなおじいちゃんから

夜中にコールがあった

普段コールはないのに、珍しいと思いながら居室に行き、用件を聞いてみた

おじいちゃんの顔は一点を見つめ強張っていた

『俺の部屋のドアを全部閉めてくれねーか?』

確認のためドアにごみ箱を挟みすこし開けていたんですが、

おじいちゃんの部屋の目の前は廊下につながるドアの前

上司が『確認のためドアは少しだけあけさせといて』

と言ったんですが

『俺は嫌だよぉ!あのドアの向こうから、

髪の長い白い服を着てハイヒールを履いた女がこっちを睨んでるんだよ』

そう言われた上司は怖くなり、言われた通りドアを閉めたみたいです

老人ホームに不釣り合いな女の人

一体何しにきたんでしょうね?




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