廃病院の地下(2) |
幽霊の怖い話 File.38 |
ネットより転載 |
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中に入って脚を地面につけると、割れたガラスを踏んでパキパキって音がした。 そん時になぜか、俺の全身が寒くなって鳥肌がヤバいくらいたった。 本気で今すぐ窓から逃げ出そうかって思ったくらいだったけど、BとAがスタスタ先に行っちまうし、 車の鍵持ってるのはAだからそうもいかなくて、俺は置いてかれないように後からついてった。 一番後ろってのは本当に怖いもんで、 全然奥が見えない背後の廊下の暗闇からなんかサダコみたいなヤツが走ってきたらどうしようとか本気でビビってた。 受付の広い空間に出て、Bがあたりをライトで照らすと、 そのまんまで放置されてた長イスとか床に散らばったファイルなんかが土でグズグズになってて、 ナースセンター?の中なんかも棚が倒れてたり窓口が割れてたりして相当雰囲気あった。 A「うおこぉえ〜」 嬉しそうにAが喋ると、なんだか山びこみたいに奥に声が響いてくのがわかった。 A「どこ行く?」 B「やっぱ下でしょ。死体見ようぜ死体」 虫の知らせってヤツだったのかもしれない。何故か本気でイヤだって思ったんだ。 だから俺は渋るAとBを説得して、上に行こうって言った。 ホントはもう出たかったけど、馬鹿な話、ここで帰ろうなんて言ったらチキン扱いされるのが嫌だった。 俺らが途中にあった病室やら診察室なんかを覗きながら二階に上る階段を上がる途中、俺は変なもんを見た。 階段を上る途中で、俺はビビってたからちょくちょく後ろを振り返ってたら、 ちょうど壁っていうか階段の区切り?っていうのか? その角んところに足が見えた。壁の向こうは地下に下りる階段があった。 ほんっきでビビった。足が止まって息がうまくできなかった。 先行ってたBが「どうした?」なんて声をかけたところで金縛りみたいな状態から戻って、 俺はあれは気のせいだってひたすら自分に言い聞かせて二人の後をついてった。 二階や三階は普通に怖かったが特に何もなく終わった。 休憩所やら喫煙室なんかに残ってた古い型のテレビが割られてたりするくらいで、 そのテレビを見てAが「これ多分、Y先輩がやったやつだぜ」なんて言って笑ってた。 俺達が一階に戻ると、AとBは当たり前のように地下の階段を下りようとした。 この時ばかりは俺はマジで止めた。 俺「マジやばいってなんか。そっちはやめとこうぜ」 A「なにお前ビビッんの」 B「うっわマジチキンだわ〜コイツ」 二人にからかわれ腹も立ったので、仕方なく俺も一緒に下へ下りた。 地下はかなり暗かったのを憶えている。 月の光が入ってこないだけでこんな違うのか、なんてことを言いながら俺達はあたりを照らしてみた。 廊下に置きっぱなしにされてる長椅子や壁に掛けられてる消毒液のボトル、 車椅子なんかも全部おきっぱなしになっていた。 しかし何故か上の階に比べてやけに片付いているというかキレイで、違和感を感じた。 Aが手近な部屋のドアを開いて、Bが廊下の奥にライトを向けたときだった。 B「おい、あれが手術室じゃねぇ?」 ライトの灯りがかろうじて届くほどの距離に、ドラマなんかでお馴染みのプレートが見えた。 手術中には赤く光が灯るアレだ。 ライトに映されたそれは文字なんて全く見えなかったけど、Bはかなりテンションを上げて大またで奥へと進んでいった。 遅れてAもそれに続く。 俺はこのときから気分が悪くなってた。 耳の中に水が入ったときのようなあの感覚がずっと続き、風邪になったときに感じる、 うまく言い例えられないけど精神が不安定になるような感覚に襲われた。 それでも一人残されるのは怖かったから、 進むほうとは反対側の廊下の奥のほうへ注意を払いながら二人の後をついていくと、突然Aがゲラゲラ笑い出した。 ビクっとなって前を見てみると、BがすっころんでAがそれに爆笑してた。 A「マジお前なにやってんだよダッセーな」 なんて言いつつ懐中電灯でBを照らして笑っていたが、中々Bが起き上がらない。 流石に心配になったAと俺は、「おい大丈夫か」と声をかけながらBの横にしゃがみこんで顔を窺った。 すぐにおかしいことがわかった。 キツく目を閉じて歯を食いしばり、脛のあたりを両手で押さえて低く呻いている。 俺「おいどうした?!どっかぶつけた?」 焦って聞いてみるが、よほど足が痛いのかBは返事さえしない。 「あああああ」とか「ううううう」とかひたすら唸ってた。 A[おいちょっとどかすぞ?いいか?お前ちょっとここ照らしてて」 俺が懐中電灯を二つ持ってBの足を照らした。 Aが慌ててBがスネを抑えてる手をどかすと(相当Bも痛がって抵抗した)Aが「うわっ!」と声をあげた。 俺も「え?なに?どうしたの?」なんて言いながら目をこらすと、 今思い出すだけで本気で吐きそうになるんだが、本気であの時は呆然となった。 Bのスネのなんていうか一番骨に近いとこの皮と肉がなかった。 ライトに照らされてかすかに見えた白っぽいのは多分骨だったと思う。 あとは血がマジですごい出ててそれどころじゃなかった。 Aがパニくって「おいなんだこれ!?どうしたオイ!」 なんて叫んだ。 俺もワケがわからなくて、でもここがもうヤバいことはとっくにきづいてた。 出ようって俺はAに言って、二人でB両側からかかえようとして、 AがBの肩を支えて俺が反対側へまわりこんだ時だった。 今でも忘れられないあれを見た。 Bの落としたライトは手術室のドアを照らしてた。 そのドアがいつの間にか開いてて、中から妙なモンがこっちを見てた。 真っ暗なときに人の顔をライトで照らすと、 輪郭がぼんやりして目が光を反射して怖いと思うことがあるのは経験したことがあるとおもう。 人と言っていいのかわからないけど、あれの顔はそれに近かった。 身体は丸っぽいとしか憶えてない。 よくテレビで放送する、太りすぎた人間のあれ。 ぶよぶよとした肉がたるんで動けなくなったアレに近い。 大きさは普通に人間くらいだったけど、横幅が半端じゃなく広かった。 それが身体を左右に揺らすようにしてこっちに近付いてくる動作をした。 まともに見れたのはそこまでで、Aが金切り声を上げてBを引きずるようにして逃げようとした。 俺も叫んだと思う。 何も考えられくなったけど灯りがなくなるのだけが怖くて、 ライトをしっかり両手に握ってBの腕を俺の腕で抱えるようにしてAと引きずった。 ただ灯りが前を向いてなかったから前がよく見えなくて、それがまた怖くてパニックになった。 それでもなんとか階段近くまでBを引きずったけど、 俺達が進んでたほうの廊下の奥からカラカラカラカラカラって音が急に聞こえた。 それは段々大きくなって、なんだと思って俺がライトを両手で向けると、 人の乗ってない車椅子がもう間近に迫ってたところだった。 俺が手を放したせいで体勢が崩れたBとAにその車椅子は直撃した。 相当な勢いだったと思う。 Bが床に転がって、Aは本当に今度こそパニックになったんだと思う。 「わあああああああああ」 って叫びながら踵をかえそうとして、また甲高く喚いて反対方向へ物凄い勢いで走ってった。 Aが階段さえ通り過ぎてしまったあたりで俺がAの名前を叫んだけど聞こえなかったんだろう。 そのまま喚きながら走ってった。 Aの叫びがただ間延びしながら遠ざかっていって、 俺はもう泣き叫びながらBの腕を引っ張ろうとして懐中電灯を両方落とした。 慌てて拾い上げようとして顔をしたにむけたとき、 もう俺はそのとき死んだと思った。 →廃病院の地下(3)へ ★→この怖い話を評価する |
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