四番目の私 |
幽霊の怖い話 File.28 |
投稿者 よる 様 |
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昔から家の中には大きな鏡があった。 悪戯心で別の大きな鏡を向かい合わせれば、鳥居に似た不思議な道が連なって、 それに映る自分へ手を振れば誰もが同じ動きをした。 それから私は、毎日の様に合わせ鏡で遊ぶ子供になった。 ただ九番目の私だけは、ゆっくりと手を振っている、そんな気がした。 いつもの部屋、友達のいない私は鏡を向かい合わせにしようとズ、ズ、ズ…と動かす。 その矢先、鏡が倒れガッシャン!と割れる音が響き、その日は母にひどく叱られてしまった。 次の日には、以前よりも一層大きな鏡を買ってきてくれた父に、心から感謝する。 今度は慎重に鏡を合わせて、いつもと同じ姿の自分を見つめていた。 暫く眺めていたのに全く気付かなかった。 …異様な、、もの 顔の半分しか見えない、数珠繋ぎの私達。 なのに七番目の顔が、つぎはぎをしたみたいな顔になっている。 手を振ればゆっくり振返してきた。 きっと、新しい鏡になったせいだと思った。 その夜、以前よりも大きくなった鏡を片付けるのが面倒になり、合わせ鏡のままにして眠りについた。 夜中に突然、私は寝苦しさで目を覚ました。 時計の針を見れば、丁度午前4時を回ったところ。 起きるには早過ぎると、着替えだけ済まして寝直す事にした。 ベッドからのっそりと起き上がり着替え、そして戻ろうとした時、 何故か急に合わせ鏡の事が気になり近づいて覗き込んで見る。 …なんだろう 何かが違う ふと、体が凍りつくほど恐ろしくなり汗が吹き出た。 そんなはずない! きっと寝ぼけているんだ!そう思い もう一度数え直して、 みると、 3番目の私の後ろから、顔だけを、スー…と傾け私が私を見た。 なんとも云えない目で。 瞬間、心臓が痛いぐらい音を鳴らした。 もう、息をすることも忘れ口を大きく開閉させている。 あまりの事に瞬きすら、ままならない中、ソレは何事もなかったかのように 3番目の私の後ろに重なる様に隠れる。 私は決死の思いで無理やり瞼を閉じ続けた。 どれだけ時間たったのか、何日も寝ていない様な疲労感と恐怖で、 落ち着かない呼吸をどうに錯覚だと暗示をかけながら、保証のない安心を覚えさせた。 もう一度深く息を吸い込み、震えながら恐る恐る目を開いて見れば、 そこには同じ私達がいた 4番目も着替えた服に苦しそうに息をする私。 ほら、やっぱり気のせいだった、寝ぼけて怖い想像をしてしまったんだ。 もう早く寝てしまおう。 そう思いベッドに向き直ろうと動いた私に ぼそっ、と耳元近くで聞こえた声で足が床に張り付いた。 僅かに目の端で鏡を見やれば、長い指が近くまできている。 違う、後ろに何かいる (さっき隠れたのは…) 居るはずのない気配がして振り向いた。 へばりつく歪な顔に眼が潰れそうだった。 ★→この怖い話を評価する |
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