幽霊アパート(1)

幽霊の怖い話 File.16



投稿者 ミソジ37 様





専門学校の同級生Kが住んでいた風呂無し、トイレは汲み取り式。という、古いアパートです。

習志野市を走る某私鉄の沿線にあるそのアパートは、電車の中からも部屋が見えました。

住人は1階に大家、2階に友人がいるのみ。

しかし、彼の部屋を訪れる同級生は、全員と言うほど訪問するなり「あれ?他の人は?」と尋ねます。

最初のうちはKも「一人だよ」と答えていましたが、

毎回のように何人もの同級生達が、挨拶のように同じ事を言うので気になったのでしょう。

学校で休み時間に皆に聞きました。

「何で、皆『他の人は?』って聞くの?一人暮らしなのに、俺の他に誰がいるっちゅうねん」

冗談っぽく、お笑い芸人のツッコミっぽく尋ねると、同級生達の返事にKは青ざめました。

彼等は一人残らず「電車からKのアパートを見ると、窓に数人の人影が見える。」と応えました。

霊感なんて無縁の同級生までが……。

もちろん俺も………。

決定的だったのは、ある週末、俺はKと酒を飲むため、その私鉄を使ってKのアパートに向かった時です。

電車の中から彼の部屋を見ると、その日は窓には、一つの影だけが映っていました。

正確には、誰かが誰かを負ぶっているような感じで二人分の影でした。

まだ携帯など普及していない時代です。

気になって駅の公衆電話からKに電話をすると、何事もない様子。

アパートに着いて、いつものように「他の人は?」と言うつもりでドアを開けると…………

一人ではなかったのです。

小さい子が一人、慌てて押し入れに隠れる瞬間でした。

Kには霊感など無く、何事もない様子で「いらっしゃい」と言いましたが、

俺の表情で何かを悟り「何かいた?」と尋ねて来ました。

見たまんまを説明すると、翌週アパートを引き払い、都内の学校の近くへ引っ越してきました。



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