おっかない合コン(2)

創作の怖い話 File.91



投稿者 でび一星人 様





「じゃ、ウチから話すな。 【赤い手袋】・・・」

雉与が身を乗り出しながら、話を始めた。

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皆は、【赤】っていう色に、どんなイメージ持ってる?

【情熱の赤】とか、【燃え滾る赤】とか、

赤にはそういうイメージがあるやんな。


赤って色は、刺激の強い色。

ほら。

白黒テレビでも、赤は黒に近い色で映るやろ?

猫が毛玉を吐く時、

とっさに広告をそこに持って行く事とかあるけど、その広告が赤やった場合、

刺激が強いから猫は逃げて他んトコで吐いてまう。

太陽の光も、沈みかけの時最後まで目に届いてくる色は赤。

赤はそういう色・・・


 今から三年くらい前かな。

仕事が終わって、ウチはいつもの道を通って、家に帰っとった。

そんな帰り道、ふと目の前に赤いモンが落ちてるのが目に入ってな。

近づいて見てみたら、赤い手袋やってん。

子供用の、小さい毛糸で編んだような手袋。

まだ買って間もないような感じで、汚れては無かったんやけど、

落ちてるもんやし、何か汚らしいから普段なら放っとくんやけど、

なぜかウチは、その手袋を手に取ってた。

その手袋には、ビラビラがついてて、そこには
【OO小学校 4年2組 須加 ミク】って、名前が書いててな。


OO小学校なら、近くやから、そのうちもって行ったろっか・・って思って、


ウチはその手袋をカバンに入れて家に帰ったんやわ。

仕事の疲れか知らんけど、その日はものすごい体が疲れてて、

化粧も落とさずにコロっと寝てしもうてん。


・・・で、その日の夜中に、ふと目が覚めてな。

仰向けに寝てたから、天井がまず視界に入って、

トイレに行きたくなったから、起き上がろうとしてん。

ほしたら・・・体が動かへん。

これが金縛りかぁ。 って、金縛りなったこと無かったから、すごい不思議な感じやった。

ウチはどうすることも出来ずに、ボーッと天井を眺めてた。

ほしたら、天井の木目?見たいなのが、だんだん【人の目】みたいに見えてきてな。

気のせいやろうと最初思ってたんやけど、どうもそうじゃないらしく、

その【目】がだんだん大きくなっていく・・・

いや、大きくなったと思ったんやけど、どうやら、


・・・こっちに近づいて来てるんやわ。

なんやしらんけど、全身から汗が出てきてな。

ヤバイ ヤバイ ヤバイ・・って、きっと体が察したんやと思う。

せやけど、何も出来へん。

ヤバイと思いながら、ウチはその近づいてくる【目】とにらめっこするしかなかった。


【目】が、ほんまにウチの顔の前まで近づいた時、頭の中で声が響いた。

「キヅイタンダ」

って・・・。


気がついたら、夜が明けてた。

体も動くようになてたし、昨日のアレは夢やったんかな?

って、半信半疑なところもあったんやけど、

もしかしたら、拾った手袋に何かあるんちゃうかと思って、

次の日仕事帰りに、あの手袋に書いてる〇〇小学校に届けに行ったんやわ。


学校に着いた時間は、既に夕方の6時を回っとって、生徒はもちろん、先生もほとんど居てへんかった。

ウチは、なにやら外の花壇をいじってる先生みたいな人に聞いてみた。

「すいません。あの、手袋を拾って、そこにこの学校と女の子の名前が書いてあったんですけど、

4年2組の須加ミクって子・・。わかりますか?」


その先生は、軍手を手から外し、首にかけてたタオルで顔と手を拭き、

「・・須加・・ミク・・・。 はぁ・・。知ってますが・・・。」

と答えた。

「よかったぁ。 あの、じゃあ、この手袋、渡しといてもらえますか?」
って言って、私はカバンから手袋を取り出そうとゴソゴソやってたら、

「・・・いや、知ってるんですが・・渡すのはちょっと・・・。」

ってその先生が言う。

「なんでですかぁ。 知ってるんなら渡しといてくださいよぉ。」

って、ウチはカバンの中の手袋を探しながら言うてんな。ほしたらその先生・・・


「須加ミクって子・・・私の同級生なんです・・・。 もう、亡くなったんですけどね・・20年も前に・・・。」


「え・・・。 きゃぁ!!」

私の全身に鳥肌がたった。

たしかに、昨日拾ったときは綺麗な真っ赤な手袋だった。
それが、ボロボロで茶色い手袋になってて、思わず私はそれを投げ捨てた。


その先生は、無言でその手袋を拾って、

「・・・これは・・・。須加さんが確かによくつけてた・・。」


その後、その先生から聞いた話では、

先生はこの学校の卒業生で、確かに四年生のころ、同じクラス(2組)に須加ミクという女の子が居た。

誕生日に買ってもらったらしい白い手袋をすごく気に入ってたみたいで、

冬場はいつもそれをつけて学校に来てたらしい。

でも、そんなある日、交通事故に会った。

即死だったらしい。

須加さんの手袋は、血で真っ赤に染っとったんやって。


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「・・・ウチの話はこれでおしまい。 結局、なんでその手袋がウチの目の前に現れたのか、

金縛りの原因があの手袋のせいやったのかは解らへんままやけどね。」

「・・・怖ぇ・・。」

「怖www」


雉与・・・一発目からいきなりそんなの来るか・・。

一気に合コンの雰囲気はぶち壊れた。


見ると、泳吉君の目は名前の如く泳いでいた。

女の子の話で、最初はあまり怖くなくても、怖いってリアクションをとろうとしてたけど、予想外に怖かったって感じだ。


「じゃ、じゃぁ、次はおれが行こうか。」

泳吉君は搾り出すように言った。

「じゃ、行くよ。第二話。 【悪魔の血】って話。」


ん・・もしかしてこの話は・・・。


泳吉君は、話を始めた。


「・・ある洞穴があってね、そこには、数匹の動物が住んでたんだ。


その中にね、熊がいてね・・・」


そこまで泳吉君が話したとき、

「・・あの・・・。」

珍子が泳吉君に声をかけた。

「・・ン?何だい?」

泳吉君は話を止め、珍子に聞く。


珍子は、

「・・あの、もしがして、もしがしてだよ? ・・その話、最後に 「あ、熊の地」・・とかってオチじゃぁないよな?」


「ぇぅ・・・。」

泳吉君の目の泳ぎ方がハンパでは無くなった。

おそらく、






  図 星 な ん だ ろ う 。





「ち、ちがうよ!」

苦しそうに泳吉君は言う。

「そっがそっが。 なら安心だ。 もしそんなんだったら、オラ許せなかったがらな。じゃ、続けてケロ。」


珍子は安堵の表情で言った。

泳吉君の表情は安堵どころか沈努って感じだ。

どもりながら泳吉君は、

「・・そ、その熊が・・悪魔にとりつかれてね、血を吸われたんだって・・。」


「へ〜それでそれで?」

珍子が無邪気に聞く。

泳吉君は、

「・・おしまい・・・。」


・・・

・・・



「ええええっ!」(←4人一斉に)


合コンは、まだ始まったばかりです。



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