でびるーるすまん(5) |
創作の怖い話 File.236 |
投稿者 でび一星人 様 |
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「…奥さん、 アナタ、通販番組見てくつろいでる時間、いつもあるじゃないですか。 …それに、昼は出前とってるんだから、絶対に自由な時間作れてるじゃないですか」 「た…たしかに多少の時間を作る事はできますけど…でもそんな働くほど長い時間なんて…」 「ひょっひょっひょ! でしょうね!普通なら無理です! 奥さんが作れる時間はせいぜい五時間でしょう! 旦那にバレずに作れる時間はね!!」 「…でしょう? そうよ…せいぜい五時間よ…。 いくら時間作れるって言っても、 ローンの事旦那には話せないし、 そのローンを稼ぐくらいはたらいちゃったら、絶対に旦那にバレる時間になっちゃうわ…」 「ヒョッヒョッヒョ…。 奥さん、そこを心配していらっしゃる。 …ですがご安心を。 何の為のワタシだとお思いですか?」 「…えっ?」 「ヒョッヒョ…」 でび呂さんの目が一段と輝きだしたように感じた。 「…奥さん…見たところ、奥さんは20代後半に見える。 実年齢よりお若くみえる…」 「えっ、そ、そう…。あ、ありがとう…」 「…奥さん…胸もけっこうありますね。 しかもスタイルも良い」 「えっ…そ、そうかしら…。 ま…まあ、この歳なら良いほうかもしれないけど…。 でも昔に比べたら…」 「いえいえ十分ですよ!!! 奥さん、 人生にはいくつかの岐路があります。 ギリギリの綱を渡るか、 もしくは地獄の苦しみを味わって死ぬか。 …奥さんはどっちがいいですか?」 「…えっ…そ、そりゃ、苦しんで死ぬんだったら…綱…かな…」 「よし決まりだ! 奥さん! アナタをワタシの店で採用する事にしましょう!」 「え…えっ?」 「…な〜に、簡単なお仕事ですよ。 お客の男の人の体を洗って、少しばかりサービスするお仕事です」 「ちょ…ちょっと!それってけがらわしいお仕事じゃないんですか!!! いやですよそんな仕事!!!」 「大丈夫です!!! どうせ全部洗っちゃうんですよ? それに、とてもキレイなお店です! 見てください、今居るこの店を!!! こんな汚い店で、口に入るもん出してるところもあるんですよ!!! どっちがいいんですか? ドーーン!」 「な、なんですか最後の【ドーン】は? 人に指ささないでください!!! 私、帰ります!!! 失礼します!!!」 私は勢いよく席を立った。 「…【地獄の苦しみを味わって死ぬ…】を選ぶんですね奥さん…」 ピクッ…。 でび呂さんの低い声の一言。 私の足は立ち止まった。 「…綱を渡って…一か八か賭けよう…とは思わないのですね奥さん? …まあいいですよ。 アナタの人生です。 ワタシはアナタを救おうと思っただけですから…。 まあ、お元気で…」 「…」 その言葉を聞き、私はここのまま店を出てしまうと地獄に向って行くような気がした。 「…奥さん、 さっきもいいましたが、そこまでヒドイ仕事じゃぁありません。 …それに条件も良い。 奥さんなら、通勤時間入れて週4で5時間も働けば、一ヶ月で半年分のローンは支払えるでしょう…。 …それを得と思うか損と思うかは…奥さん次第ですがね…」 …一ヶ月で…半年分のローン…。 …そ、そんなに稼げるの…。 「…それに奥さん、 この仕事はね、 実に色んな人に、 感 謝 さ れ る 仕事なんですよぉ。 …心からねぇ」 感謝…。 私は自然とでび呂さんの隣にまた座っていた。 「で、でび呂さん… じょ…条件面や、仕事内容のお話を…。 もう少し詳しく聞かせていただけますか…?」 私はしどろもどろになりながら言った。 「ひょっひょっひょ…。 いいですよ。 まあ、やるかやらないかはそれから決めれば良い。 無理強いする気はありませんから…。 では、場所代えましょうか。 どうぞ、店舗の方にキレイな事務所がありますので…」 「…はい…」 私はでび呂さんと一緒に喫茶店を出た。 「で…でび呂さん…」 「…ん?何ですか?」 「こ、この話、えらい長いですが、今日で完結できるんですかね…」 「ヒョッヒョ…。奥さん、そんな心配しないで下さいよ。 →でびルールスマン(6)へ ★→この怖い話を評価する |
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