雨の夜の出来事(6)

創作の怖い話 File.196



投稿者 でび一星人 様





「・・・あのな、よう聞いてや・・・。


たしかにな、昨日、傘貸す前に、花ちゃんを見たんや・・・。


花ちゃんいうか、花ちゃんそっくりな人をな・・・。



まあ、他人の空似っていうのもあるから、あまり気にしてなかったんやけど、


花ちゃんに傘貸して、その後すぐに花ちゃんは家帰ったやろ?」



「え・・ええ。帰りましたけど・・・。」



「・・・おかしいんや・・・。


ワシ、花ちゃんと別れて、帰る為に、花ちゃんの家と反対方向に歩いてたんやけどな・・・




すれ違ったんや・・・・。




また、花ちゃんに・・・。」




(はは〜ん・・・。


きっと母さんだろう・・・。)



 沙織は、これを利用して何かイタズラが出来ないかと作戦を張り巡らせる。




丼丸は尚も話を続ける。



「花ちゃん、気ィ悪せんといてや・・・。


その花ちゃん・・・な、


全身裸で、夜道を歩いとったんや・・・。


ものすごい形相をしてな・・・。」



「・・・えっ?」

母さんじゃ無い・・・。


なぜか全身から汗がふきだし、


妙な寒気を感じた。




「・・・花ちゃん、【ドッペルゲンガー】って知っとるか?

自分とまったく同じ姿形をしとって・・・

もしそれに出くわしてしもうたら・・・

死んでしまうと言われとるんや・・・。

・・・せやから、

花ちゃんも気をつけて・・・。」




 丼丸さんはそう言うと、ドアを閉めて出て行った。






 沙織は朝からものすごくテンションが下がった。







台所に戻ると、母さんがビックリ箱の中身を詰めようと必死になっていた。




 少し癒された。



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