恐怖体験(5) |
創作の怖い話 File.181 |
投稿者 でび一星人 様 |
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ふいに離れて暮らすオカンの顔が頭を過ぎった。 涙は更にあふれ出る。 「ちょ・・・鍋衣ちゃん、そんなに泣かないでよ。」 モモマーが弱冠困った様子で言った。 そんなモモマーの顔を見て、ウチは重大な事を思い出した。 「ヒック・・・ヒック・・・そういえば、モモマー。」 「ん?」 「ヒック・・・今の話、すごいエエ話やってんけどな、」 「ほいほい。」 「よう考えたらやで?」 「ふむふむ。」 「その頬の痣については一切触れてないがな。」 「・・・あ、忘れてた。」 「・・・。」 「・・・。」 「ズコーーーーーーーーーーーーーーーー!(ウチ)」 「ははは・・・ゴメンゴメン。 んとね、この頬の痣が出来た話だけどね、 少し怖い話になるかもしれないんだ。 鍋衣ちゃん、覚悟は良い?」 「ゴクリ。」 ウチはゆっくりと頷いた。 「この痣が出来た夜はね・・・さっきも言ったように、雨の降り頻る夜だったんだ・・・。」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 小学六年生の頃。 家は新しく建てたけど、僕の部屋は【仮設】の時に立てた部屋でね。 ところどころ気が変色したりして、 パっと見、薄気味が悪い雰囲気の部屋だったんだ。 街灯なんて無い時代。 夜になると部屋は真っ暗なんだ。 右も左も見えないくらいにね。 だから布団に横になったらもう寝るしかないんだよ。 外が明るくならないと本すら読めないからね。 そんな僕の部屋で寝ようとしていたある夜の事だった。 明かりを消した真っ暗な部屋の布団にもぐりこんだ僕は目を閉じた。 コトコト・・・ 部屋のどこからか物音がした。 僕は目を開けた。 ・・・でも部屋が真っ暗なのでもちろん何も見えない。 気のせいだったのかなと僕はまた目を閉じる。 ・・・コトコトコト・・・ やっぱり音がする・・・。 ・・・いや、音だけじゃない・・・。 枕元に・・・ 何か気配を感じる・・・。 何かが居る・・・。 僕は怖くなった。 だって、窓も入り口も、 ちゃんと鍵をかけたんだ。 何かが部屋に入れるはずがない・・・。 コトコト・・・ ガサガサ・・・ 気のせいじゃない。 確実に部屋の中で物音がしている・・・。 緊張で全身から汗が出て来た。 トン・・・ その時だった。 顔に、何か重さを感じた。 なんというか・・・ 動物の手というか爪先というか、 それを顔に置かれたような感覚・・・。 思わず僕は目を開けたんだ。 そしてすぐに目を閉じた。 ハッキリと見てしまったんだ。 赤く光る二つの目を・・・。 と、突然、 頬に激痛が走った。 「痛い!!!!」 僕は恐怖心も手伝ってか大声で叫び、布団から飛び起きた。 そして慌てて部屋の明かりを着けた。 ・・・でも、部屋には僕以外誰も居ない・・・。 「ど、どうした!w真一!!!Ww」 父さんと母さんが、僕の叫び声を聞いてすぐに駆けつけてきてくれた。 僕は急いで入り口の鍵を開けて父さんと母さんを部屋に入れた。 「な・・・なにかが居る・・・。」 僕は部屋の中を指差しそう言った。 ポタ・・ ポタ・・・ 僕の頬から血が滴っていた。 触ると、小さい穴が頬に三つほど開いていた。 父さんと母さんはその傷を見て、顔が真っ青になった。 「かあさん!w 急いで真一を病院に連れて行くぞ!」 父さんは僕をおぶって夜の街を駆けた。 土砂降りの中をね。 そして知り合いの医者をたたき起こして、診察してもらった。 なにやら父さんが医者に話し、僕は注射をうってもらった、 「これで大丈夫や・・・w」 父さんは安心した様子だった。 僕はよくワケがわからなかったよ。 なんで頬に傷を負って、注射をうってもらったのか・・・? 帰り道、真っ暗な道を父さんは僕をおぶりながら歩く。 雨はもう上がっていて、 水溜りに映る月がとてもキレイだったなぁ。 →恐怖体験(6)へ ★→この怖い話を評価する |
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