彼女のスイッチ |
人のほうが幽霊よりも怖い話 File.18 |
投稿者 花 様 |
|
私の昔の彼氏、隆(仮名)は、元彼女の話をなかなかしてくれなかった。 私は興味深々だったのだが、いつも口を濁してばかりではっきりした話は聞けずじまいだった。 まあ私達は仲良しだったので、別にどうでも良かったのだが。 ある日二人でコンビニに行った。 私がクリーム入りのプリンを手にした時。 隆「あっ、。」 隆は小さく声をあげた。 見ると、怯えたような顔をしている。 私「どうしたの?」 隆「いや、、、。いいよ。」 私「はっきり言ってよ。」 隆「うん、、、、、。」 途端に無言になった隆。二人で隆のアパートまでの帰り道。私の手をしっかり握っていた。 確実に何かを怖がっているようだった。 アパートに着いて荷物を広げていると。 隆がポツポツと話し始めた。 以下、隆口調で。 俺の前の彼女なんだけど、、、。 そのクリーム入りのプリンが大好きでさ。 いつも買ってたんだよ。 その彼女さあ、普段はすごい優しいんだよ。 もう、馬鹿がつくくらい。 いつも俺の後ばっかりついて歩いてさ。 あ、ごめんな。 でもさ、、、、、スイッチが入るんだよ。 そのスイッチが入ると、もうとんでもなく怖いんだよ。 例えば、きっかけはどんな事でもいいんだ。 俺がテレビの芸能人見て、この子可愛いよね。とか。そんな小さい事なんだ。 そしたら、スイッチが入る訳。 突然、わめき散らすんだ。文句とかのレベルじゃないよ。 奇声。ギーギーって。ほんとにギーギーって言うんだ。 目付きも変わる。まるで別人だった。口からヨダレたらしてさ、その、、、、、今お前が持ってるプリンな。 それ、顔に塗りつけるんだ。 もうそうなったら、いくら俺が謝ろうが、叩こうが、一切何も通じない。 ただギーギーギーギー言って、プリンを顔に塗りまくるんだよ。 俺はいつでも別れようとした。 でも怖かった。 普段はほんとににこにこしてて、可愛くて、誰が見ても普通なんだ。 ただ、スイッチ。 スイッチが入ると駄目なんだ。 ついにある日、ギーギー言いながら、包丁を持ち出した。 力はそりゃ俺の方が強いよ。 でもよ、白目みたいな目でヨダレ垂らして包丁持ってるんだぜ。 俺は逃げた。 友達の家に泊めて貰った。 2日たって、アパートに戻った。 カピカピになった飯の前に座ってた。 「おかえり。」にこにこ笑ってそう言った。 でも、手にはプリンが握られてた。 今からスイッチが入るんだ!! 俺は女を抱え上げた。騒ぐ女を抑えつけながら、アパートの玄関から放り出した。 バンバンバンバンドアを叩いてギーギーギーギー喚くのをやめなかった。 俺は汗びっしょりになって部屋の中で震えてた。 警察が来たんだ。 訳の分からない奇声と共に女は連れていかれた。 俺は引っ越した。 そのプリンを見ると、あの女が目の前に居るみたいだ。怖いよ、、、、、。 私はプリンを窓から放り投げた。 スイッチ。 私にもあるだろうか。 いつか。いつか。 ★→この怖い話を評価する |
|
爆光!LED懐中電灯専門店 |
|
[怖い話] [人のほうが幽霊よりも怖い話] |