また遊びに来るよ |
摩訶不思議な怖い話 File.71 |
投稿者 二階堂タカヤ 様 (mixiのコミュニティ「平成耳袋」の管理人様です) |
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職場の同僚、Eの話しである。 Eは当時、卒業間近な大学4年生だった。 寮で一人暮らしをしていたEは、卒業と同時に地元の群馬に帰る為、その日は部屋の片付けをしていたのだという。 半ば荷物の整理も済み、寝る準備を始めたEの耳に携帯の着信音が入った。 相手は、しばらく連絡をとっていなかった地元の親友Aだった。 「よぉ、久しぶりじゃん」 他愛も無い挨拶を交わし、二人は話し込んだ。 近況、学校の事、気になる女の事、Eは色々と話したが、どうもAの反応が薄い。 相槌を打つだけで話に食いつく様子がまるでないのだ。 Eがどうしたのかたずねると、Aはあいまいな返事をした後に 「たまには遊ぼうよ」 と切り出した。 どこか解せない返事だったが、どうせ地元に帰ればAとまた遊ぶようになるだろう。 「そりゃもちろん、いつ遊ぶ?」 Eの返事に気を良くしたのか、Aは嬉しそうに 「じゃあ今から行く」 とだけ言い残して、通話は切れた。 Eは首を傾げた。 今から行くと言っても、Aは群馬、Eは神奈川で、時間も既に日付が変わって深夜だ。 どういうつもりなのか考えていると、Eの部屋のインターホンが鳴った。 同時に声が聞えた。 「おーい、遊びに来たぞー」 先ほど電話で聞いたのと同じAの声だった。 (なんだ、Aのやつこっちに遊びに来てたのか) 入口に向かい、ドアを開けるとそこには満面の笑みのAが・・・ いなかった。 人一人いなかった。 どこかに隠れているのかと思い、部屋の周りを見て回ったがやはり誰もいない。 不安に思い、Aの携帯に電話をしてみるが・・・でない。 途端に、言いようのない寒気を覚えたEは、姿の無いAを放って、部屋に戻って寝たのだという。 「また遊びに来るよ」 明け方、ハッキリと声が聞えたという。 驚いて飛び起きると、部屋のドアがわずかに開いているのが見えた。 その声は確かにAの声だったと、Eは言っていた。 その日の昼に、親からEに電話が掛かって来た。 Aが亡くなったという。 昨日の夕方頃、乗用車同士の正面衝突でAは意識不明の重態となり、日が替わる頃に息を引き取ったのだという。 ・・・ではEと電話で話していたAは? ・・・昨夜、この部屋を訪れたAは? ・・・今朝方聞えた声は? Eは何となく、携帯のメモリからAの番号が消せないと言って見せてくれた。 「また遊びに来るよ」と言い残してこの部屋を去ったA。 今のところまだ、Aが再び遊びに来る気配は無いという。 ★→この怖い話を評価する |
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