いない間だけ
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意味がわかると怖い話 File.109 |
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今日は父さんが帰ってくる日だ。
父さんは船乗りで家にあまりいないから、帰ってくるときはすごくうれしい。 にこにこ顔の父さんを久しぶりに見ると、僕も弟もつられてにこにこ笑ってしまう。 母さんもとても楽しそうで、父さんのいる間はテーブルにごちそうがいっぱい並ぶ。 お休みが終わるころ、父さんは僕と弟をかわるがわる抱っこすると、 「大きくなるんだぞ!」と言って、また船の旅に出る。 僕も弟も、父さんに会えるのがとても楽しみなんだ。 哀しい知らせが入った。 父さんの乗っていた船が沈んで、父さんは二度と家に帰れなくなったという。 僕と弟は泣いた。 父さんがいない間だけだから、我慢できたのに。 最悪なことに、今日から僕らは夏休みだ。 僕と弟は、もう秋を迎えることはできないだろう。 ★→この怖い話を評価する |
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最強懐中電灯 |
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[怖い話] [意味がわかると怖い話3] |