半分くらいの妹

本当にあった怖い話 File.38



投稿者 二階堂タカヤ 様 
(mixiのコミュニティ「平成耳袋」の管理人様です)






これも東京の友人Sの話しで、まだ最近の話しなのだそうだ。

Sには大学生の妹が一人いて、群馬で親と同居している。

先月の初めの頃、Sは仕事の残業が遅くまで掛かり、日を回ってからの帰宅となった。

アパートに着いた彼が自室の鍵を開け、玄関に入ったその瞬間に、ピンポーンと玄関の呼び鈴がなった。

たった今、誰もいない廊下を帰ってきたばかりである。

さすがにSは驚いた。

内鍵はかけていたので、恐る恐るドアの覗き窓から廊下を見てみると・・・

どこか見覚えのある女が立っていた。

良く見るとそれは実家にいるはずの妹だった。

こんな時間に一人で東京にいるなんて、よほど重要な用事なのかと思ったSは、

安心しきって今入ってきた玄関ドアを開けた・・・が、

確かにそこにいたのは良く知っている自分の妹だった。

だが何かがおかしい。

パジャマ姿でノーメイク、とりわけ荷物を持っているわけでもなく・・・

何より身長が、本来の半分程しかなかった。

かなりの小人である。

それに良く考えれば、用事があれば携帯だってもっている。

連絡をよこさないのはおかしいのだ。

あれこれ考えていると、小さい妹が不意に口を開いた。

「今度帰ってくる時で良いんだけど、あのCD持って来て」

言い終わるのと同時に、妹はフっと消えたそうだ。

一瞬にしてなくなったのだ。

これは何かのメッセージだと直感した。

Sは、まさか妹が何か危険な状態にあるではないかと気が動転し、すぐさま妹の携帯に電話をかけた。

3回かけたが繋がらず、4回目でやっと電話が繋がった。

出たのはもちろん妹だが、その声はやぼったく、随分かすれていた。

Sが安否を確認すると、妹は今の今まで普通に家で寝ていたのだという。

それ以外に体調が悪いような感じでもなく、Sはひとまず安心した。

だが、何か変わった事が無いか尋ねると、妹はこう言った。

「兄ちゃんのアパートにいる夢を見た。

あーそうだ、貸して欲しいCDあるんだけど」



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