廃寮

本当にあった怖い話 File.21



投稿者 ケンボー 様





専門学生の頃、当時よくつるんでた4人で廃寮へ肝試しに行った。

N、T、K、そして俺。

廃寮まで車を飛ばし、

近くのコンビニで店員の兄ちゃんに

「今から廃寮行くんすよ。」

なんて話すと

「あそこはマジやばいっすよ、行かんがいいっすよ。集団自殺とかあってるんですから。」

と答える。

もう行く気満々だった俺らはその言葉に耳を傾ける事もなく買い物を済ませて廃寮へ向かった。

廃寮へ着くと、

夜の暗闇と静寂の中、

ただただ無機質な建物が月明かりに照らされて

その姿を晒していた。

意外と綺麗な建物だ。

庭も広い。

「じゃ、行くぞ。」

次々と閉鎖されてる門を飛び越え中へ入って行った。

恥ずかしい話、

俺は門を飛び越えることができずに一人待つ事になった。

小さくなっていく三人の背中をしばらく見ていると、

奥で用務員ぽいおじさんが木を倒しては起こすという動作を繰り返している。

それはまるで機械的な動きだった。

「やべぇ、あいつら怒られるな…」

なんて思ってる俺の心配をよそに

三人はおじさんの横を通り、寮の中へと入って行った。

「あれ?」

なんて思いつつ煙草を吸いながら三人の帰りを待った。

やはり一人で待つとなると寂しいし、不安だ。

静かすぎて耳が痛い。

しばらくして

三人が小走りで帰ってきた。

「やべぇ、やべぇ、やべぇ……」

「どうした!?」

「中で何かあったん?」

Nが中の状況を話してくれた。

「中、すっげー生活感あってさ、クローゼットが開いてたりボールペンが転がってたりしてて」

「本当、取るもの取って出てった感じで怖いなぁなんて言いながら部屋探索してたんやけど…」

「聞こえた…いや、聞いた。」

「上の階から人が叩いたような足踏みが…」

「はじめ、なんか聞こえるな、くらいだったのがドーン、ドーンって力いっぱい踏む音になってきて…」

と、Kが

「うわああああああ!」

「なんだよこれ!」

と叫ぶ。

両手が血だらけになっていた。

タオルで拭くと

傷が全くない。

痛くもないという。

とにかく気味が悪いと車に乗ろうとして、

Tの背中を見ると、

白い手形が二つついていた。

「なんだよ、早く帰ろうぜ!」

車を走らせる。

少し落ち着いてきた頃に、

Nが

「俺らが帰るとき寮の中に白いモヤが見えた…」

俺も見てた。

木を倒す動きをしていた

おじさんは三人とも見てなかった。

あんな近くにいたのに。

現在、その廃寮は取り壊されている。



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