同じ人から同じ台詞

本当にあった怖い話 File.144



投稿者 ひろき 様





昨日『○△バスセンター行き』のバスに乗っていると、途中のバス停で、30歳位と思われる、

赤い服を纏った綺麗な女性が乗車し、私の隣に座りました。

その女性が

「あの・・・すみません・・・このバスは○△駅へ行きますよね?」

と私に訊ねてこられたので、

「え?あぁ。終点が○△バスセンターですから、終点で降りられれば○△駅に行けますよ」

と答えました。

「そうですか、教えて頂きありがとうございます」

「いえそんな、お礼だなんて」

・・・で、ここからが不思議なんです。

その女性は何故か直ぐに途中下車してしまいました。

とても不審に思いましたが、それ程気には留めませんでした。

次回にこのバスを利用する時の為に、

予め訊いておいただけかも知れないし・・・と自分を納得させました。

でもどうしても納得しきれない事が一つあって、それというのは、

私が乗っていたバスは運賃後払いなんですが。

それなのに彼女は、PASMOをタッチするでもなく現金を支払うでもなく、

何もせずにスル〜〜っと下車して行かれたんですよね。

普通は運転手さんが「おーい、お客さ〜ん!運賃頂いてないよ〜!」とか言うもんだと思うんですが、

誰にも何も咎められることなく、まるで誰にも存在を気付かれてもいない様な感じで、

何事も無い様に本当にスルーっと降車していかれました。何度も繰り返しますが運賃払わずに。

しかし、『不審』を通り越して『驚愕』をも通り越して『恐怖』に陥れられる事になるのは、

彼女が下車した次のバス停にバスが停車した時です。

なんと、前のバス停で下車したはずの彼女が、そのバス停でバスを待っていたのです。

私は自らの目を疑いました。そして扉が開くと、先程下車した筈の、

その赤い服の女性がまた乗車して来たのです。

そして最初から決まっていたかの様に私の目を見定め、歩み寄り、やはり私の隣に座りました。

・・・そして・・・蒼白く引きつる私の顔にこう訊ねたのです。

「あの・・・すみません・・・このバスは○△駅へ行きますよね?」

私はもう軽いパニックに陥り、顔からは血の気が引き、気持ち悪くなってしまったので、

何とか頭を上げて降車ボタンを押し、必死というか決死の覚悟で彼女の膝を跨ぎ、

振り返りもせずに降車口に辿り着き、運転手さんに

「ちょ、お客さん、大丈夫ですか?」

と声をかけられながら、何とかPASMOで運賃を支払い、下車しました。

そして、ゆっくり、視線を、上げると、何故か、先程までは、穏やかだった筈の、

彼女の、表情は、私を・・・窓越しに・・・目を吊り上げ、

凄まじい形相で、睨んでいました。口を、半分、開けて、睨んでいた様な・・・笑っていた様な・・・。

バスが走り去り見えなくなるまでずぅっと・・・。

一体彼女は何者だったのでしょうか。

彼女と同じ行動を再現しろと言われれは、物理的には可能でしょうが、それにしても・・・。

・・・・・・彼女は結局、○△駅へは行ったのでしょうか・・・?・・・それとも・・・・・・。




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