続く夢

本当にあった怖い話 File.126



投稿者 スミレ 様





あれは小学校高学年の夏休みでした。

近くに大きな神社があって毎月お祭りをしていたのでいつもの仲良し5人と毎回遊びに行っていました。

けれど出店は同じのばかり。代わり映えなく、

つまらなくなった私達は神社の裏の林になっている場所で鬼ごっこをする事にしました。

私は鬼になって友達のAを追いかけ、やっとの思いで追い詰めました。

そこは林の一番奥でポツンと小さな崩れかけの石像が置いてあり、石像から見て正面にA、後ろに私がいました。

小さな石像と言っても大人なら石像を挟んだ向こうのAに手が届くんですが、

手足の短い子供にしたら邪魔で仕方ない。

あと少しのところで届かない。

石像を挟んで左右に体を動かしながら捕まるか捕まえられるかの戦いでした。

そんな時、一瞬Aが上を向いたので私は即座にAにタッチ。

『次はAが鬼ぃ〜』

嬉しそうにする私をよそにAは固まったまま。

『Aどうしたの?』

顔を覗いてみるとその顔はひきつっていました。

Aの視線の先を恐る恐る見ると、おかっぱ頭が顔とともに半分崩れて正座している着物姿の少女の石像があるだけ。

でも、何となく怖くなってAを引きずってみんなの所へ帰りました。

合流するとAは無表情で、みんな心配しましたがAは無言で先に帰って行きました。

B『何かあったの?』

私は今までの事を話しました。するとBが興味をもってしまい、みんなでまた見に行く事になりました。

相変わらず石像は少し微笑んだような顔で真っ直ぐ前を見ているだけ。

何もなくて、つまらなくなった私達は夕方も近づいていたので帰る事にしました。

その日の夜の事でした。

薄暗い自分の部屋の角に立ったまま動かない私を上から見ている夢をみました。

夢は時間にしたら5分くらいでしょうか。とても短い夢で、でもすごく気持ちが悪くてすぐ起きました。

夜中をまわっていて、怖かった私は親の布団でまた眠りにつきました。

次の日、公園で遊ぼうとBに言われ集まるとAはいませんでした。

C『Aに電話したんだけど熱が出て寝込んでるってお母さんが言ってた』

林は夏にしては涼しくて一番薄着だったAは風邪をひいたのかと単純に考えてしまいました。

それから夏休みが終わるまでAは来ないまま学校が始まりました。

相変わらずAはいない。

朝礼で先生がAが引っ越してしまった事を聞いて、私はお互い顔を見合せました。

D『何も言わずに行くなんて!』

B『だよね。友達なのに』

すっかりAは悪者。

それでも月日が流れればAの事はすっかり忘れて私達は卒業。

最後の学校帰りに公園で遊ぶ事にしました。

その公園はあの神社の横にあり急な坂に作られていたから公園から上を見ると林が見えました。

C『そういえばAってあの日からだよね、熱でたの』

B『だね…』

そう言って林を見上げると一瞬人影が見えて林の中に消えました。

C『誰かいたね?行ってみる?Aだったりして』

私『Aは引っ越していないから神社の人じゃないの?』

B『まぁ良いから行ってみようよ!』

嫌がる私をよそに3人はどんどん林を突き進み人影がいた場所に着きました。

フェンスから下は公園が見えるだけで特に人がいる感じもなく公園に戻ろうとしたのですが、

人一倍怖いのが好きなBがあの石像を見たいと言い行く事に。

B『なぁんだ。やっぱ何もないかぁ…』

何を期待していたのか、ガッカリするB。

私は何か嫌な予感がして3人に帰るよう言いましたがBは

何もなかった事に何故か腹をたて石を石像めがけて投げ付けました。

D『それやばくない?』

私『何やってんの?』

C『バチ当たるんだよ!そういう事したら』

3人に責められたBは少しすねたような顔で1人で帰って行きました。

それからBは家に引きこもるようになり、会わなくなりました。

中学校にあがった私達はBだけ家が少し遠くて違う中学校だった為に

Bの事は気にしなくなり3人で遊ぶようになりました。

そんなある日、またあの夢を見ました。

薄暗い自分の部屋。角で立ったまま動かない私を上から見ている夢。

少し違ったのは私が上下にゆらゆら揺れていました。

前回ならすぐ終わったのに今回は長く、私が少しづつドアの方向に歩き出しました。そこで夢は終わり。

またそれで起きましたが気にせずまた寝ました。

それからAやBの事は忘れて、少し成長した私達は公園で遊ぶ事もなく、

毎月行っていたお祭りも行かなくなりカラオケやゲームセンターに行くように。すっかりあの辺りに近づかなくなりました。

それから中学校も卒業して高校へ行き、中退して違う県へ家族で引越し、月日が流れました。

新しい家では私の部屋はリビングを挟んで他の部屋とは離れていて、思春期真っ只中の私は浮かれていました。

大分新しい場所になれてきた頃…また夢を見ました。

また角で立ったままの所から。夢でも見ている私の意識はあり、またこの夢?と思っていました。

夢を見始めた部屋は変わらず。

ゆっくり歩き出す私。ドアの前まできて終わりました。

変な夢だなと思いつつも、もう18歳の私は怖さもなくまた眠りにつきました。

それから1年。友達も出来て、変わった事もなく月日が流れて行ったある日。

中学校で仲良くしていた友達Eから連絡があり遊びに行く事に。カラオケをしながら盛り上がり、話は中学校の昔話に。

E『ってかさぁ、B知ってる?』

私『うん!小学校の時に仲良かったし。

引きこもりになるような子じゃなかったんだけど学校に1回も来なかったって最後に聞いたくらいかなぁ』

E『私の小学校の友達がBと同じ中学になったんだけど、家が近くてプリントを渡す係りに勝手にされちゃってさぁ、

そんでBの家に行ったんだって!そしたら中からBの叫び声が聞こえてきて…』

私は一瞬、石像の事を思い出しました。

E『あの子がくるの!助けて!もうやめて!

って叫んでたらしくて親達の落ち着けって声とで、かなりうるさかったみたい』

私『そうなんだ…』

E『でね!この間Bが死んだんだって!』

私は固まりました。

Eによれば飛び降り自殺で頭から落ちて即死だったそうです。

帰りの電車の中、私はあの日を思い返していました。

石像に何かあるような気がして不安になりました。

鬼ごっこの日、Aは何を見ていたのか、Bが石を投げ付けてから、おかしくなった。そして私の夢。

C、Dはどうしているんだと、すぐに連絡をしましたが携帯からは使われていませんと聞こえるだけ。

不安になりながらも、普段の生活は続き、またあの夢を見ました。

また最初から。

ドアのぶに手をかけた時、私は恐ろしくなり叫びました。開けないで!お願い!

夢の私には聞こえてる様子もなく、少しドアが開き終わりました。

『はぁはぁ…』

汗だくで心臓は激しく手は握りしめていたのか手のひらに爪の痕がありました。

お茶を一気に飲み干して、また寝るのが怖くなり朝まで起きていました。

夜寝るのが嫌で、夜のバイトを毎日しているうちに彼氏が出来て、夢の怖さ薄れていき結婚をしました。

夜勤があるので週に2日は夜を1人で過ごす事になり。怖がりな私は犬を飼って一緒に寝ていました。

その日は家の大掃除をして疲れたせいかソファーで早い時間に眠りついてしまいました。

そしてあの夢がまた。

ドアがゆっくりと開くと真っ暗な闇が広がっていて、聞こえないと分かっていても行かないでと叫びました。

一歩づつその闇の中へ進んでいき、私が部屋からいなくなると急に視点が変わりました。

『あれ?動ける…』

さっきまで見る事しか出来なかった私ですが、動けるようになっていて夢の私が《私》になったんだと気付きました。

すぐに後ろを向き真っ暗な中、手探りでドアを探してもドアはなく…

どうすれば良いか分からずその場に座り込みました。

すると遠くの方で、ぼやぁっと光が見えて私はその方向へ歩き出しました。

そこで夢は終わりました。

起きた時、犬が私に向かって吠えていて頭を撫でてあげたら大人しくなり起こしてくれてありがとうと言いました。

それから妊娠をして幸せな日々が続き出産。

退院の前の日、

私は二人部屋に移されて同じ日に出産した子と色々な話をして盛り上がり、看護師さんに注意され渋々寝るの事に。

またあの夢。

光に向かって歩いて行くと、その光は灯籠でした。

いくつも縦に繋がっていて、まるでこっちに進めと言わんばかりに道のようになってしました。

私はそこを進んで行くと後ろから気配がして振り向きました。

するとそこには無数の腕が塊となって宙に浮き暗闇から

何かを掴もうとするような動きをしながら私に向かってきました。

私は必死に走りますが腕は早く、すぐに追い付かれて私の髪、腕や足、肩や服。

色々な場所を掴まれて身動きが取れずにいると声が聞こえてきました。

それと同時に私は起き上がり横の人影に声にならない声をあげました。

すると、その人影は看護師さんでその後ろで同じ部屋の子が心配そうに見ていました。

看護師『大丈夫?』

私はすごくうなされて、心配になった同室の子が看護師さんを呼んでくれたそうです。

何かあったら呼んで。そう言って看護師さんは部屋から出ていき、

怖い夢見ただけだから大丈夫とその子に言って家に帰るまで寝ずに起きていました。

またいつもの日々。少し違うのは子供。

毎日大変で、だけど子供が可愛くて幸せで、また夢への不安が無くなりました。

それから色々あり離婚をして実家に帰ってきた頃また夢を見ました。

最初から見ているのに…自分の意識で動けているのに…何故か同じ行動をしてしまう。

そして私はまた無数の腕に捕まりました。

強く握られ、夢なのに痛くて、どんどん腕の中に取り込まれていく感覚がありました。

私はもう駄目なんだと思い目を閉じました。

すると、腕達が一斉にいなくなり瞼の奥で光を感じました。

ゆっくり目を開けるとそこはあの神社でした。

私はまた上から見るかたちになっていて、ぼぉっと立っている私を見つめていました。

人影を見つけて、よく見ると私に小さい女の子が近づいてきました。

でもおかしい。足は動いてなく、滑るようにすぅーっと近づいて来るんです。

私はまた逃げてと叫びましたが無駄。

夢の私の目の前まで来るとうっすらと笑って私の手を握ると私は歩きだし、林の中へ連れて行かれました。

そこで起きました。

あの子供。見た事ある。

…そう。あれは石像にそっくりなんだ。

おかっぱ頭に着物。

半分崩れていたけど顔は確かにあんな顔をしていた。

冷や汗が止まらず、頭がぐるぐるしだして気持ち悪くなりました。


それから2ヶ月。

いつもなら何年かしたら来るのに、その夢はやってきました。

林の中を進んで行く私を見つめながら無駄だと分かっていても叫び続け、夢の私はある場所にたどり着きました。

それはあの石像があった場所。でも石像は女の子の像が乗っていた台だけになっていました。

するとまた視点が変わり私はまた《私》になりました。

私は一気に走りだし、必死に逃げて林を抜けました。

するとそこにはフェンスがあり、下を見ると公園が…そこには小学校の時の私達がいました。

遊んでいる私以外はみんなこっちを見つめ指をさしていました。

怖さで私は更に逃げて前に住んでいた家に逃げ込みました。

自分の部屋の押し入れに逃げ込み、少しふすまを開けて部屋の様子を見ていました。

ドンッ!

ドンッ!ドンッ!ドンッ!

ドアを思いきり叩く音がしてドアのぶをガチャガチャと回す音が聞こえてきました。

手を口に当てて声を押し殺し、隙間からドアを覗きました。

するとゆっくりとドアが開き、

頭が半分グチャグチャになった女の子が不気味な笑顔をうかべて部屋に入ってきました。

その動きはカクカクとしていて、たまにビクンッと大きく揺れて、目はうつろで手はだらんとしていました。

ふらふらと私の部屋を徘徊すると、いきなり女の子は倒れました。

そのうつろな目でベットの下を探っているかのようで私を探しているんだと

思ったら恐怖で体が震えてふすまに当たってしまいました。

その音に気付き女の子はゆっく押し入れに近づいてきました。

隙間から見ていた私と目が合ってニタァと笑うとふすまに手をかけた…

その時、私は子供の夜泣きで起きました。

それからもうすぐ1年。

あの夢は見ていません。

次はいつ来るのか。

次来たら私はどうなってしまうのか。

考えると怖いです。




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