女の頭

本当にあった怖い話 File.10



投稿者 woody 様





その日、私は酷く疲れていた。

家に帰るなり、風呂にも入らず布団に潜り込んだ。

あまりにも疲れていた為、すぐに眠れるかと思ったが、

逆に目が覚めてしまっており、なかなか寝付けずにいた。

「明日も早くから仕事だ。目をつむっていれば、そのうち寝るれるさ。

仮に寝れなくても、横になってるだけで違うだろうし。」

…と、とりあえず布団の中で横にだけはなっている事にしました。

布団に入って、どの位の時間が経過しただろう?

急に私の身体は動かなくなった。

身体を起こす事は勿論、手や足も動かす事ができない。

「金縛り!?」

今まで金縛りというものを経験した事が無い為、多少は焦ったが、

極度に疲れていると、能は覚醒しているが肉体のみが睡眠の状態になり、

金縛りのような現象が起こる事がある。

という情報を耳にした事があったので、さほど危機感は感じなかった。

少し冷静になった所で、身体のパーツを徐々に動かしてみる事にした。

まずは「目」。

ゆっくりと瞼を開く。

思いのほか、すんなり開く事が出来、天井が見えた。

次は「指」。

と思ったところで、視界の下の方、つまり私の足の辺りに黒い塊があった。

「?」

不思議に思い、可能な限り視線を下に向ける。

「……!?」

その黒い塊の正体は、人の頭だった。

しかも、見知らぬ女。

白い顔、生きている人間から感じられる精気というものが一切、感じられぬ顔がそこにあった。

私は一人暮らしで彼女もいない。

完全に部屋の中には私しかいないはずなのに。

私があまりの恐怖でパニックに陥っていると、何とその女は段々と私の顔の方に近づいてくる。

「ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ…!!」

私は咄嗟に目を閉じ、早くこの恐怖から逃れたい一心で、お経を頭の中で唱え始めた。

「ナムアミダブツ、ナムアミダブツ……」

10分は経過しただろうか。

私は恐る恐る目を開けてみた。

女の顔があった。

そして、私にこう呟いた。

『…お経なんて効かないよ。』



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